多重検定の問題(検定の多重性の問題)

定義

多重検定の問題(検定の多重性の問題)とは、1回ならαエラーを犯す確率の低い検定であっても、複数回繰り返すと偽陽性の推測(false positive inference)の回数も増えてしまう問題のことである。(なお1回の検定でαエラーを犯す確率を per-comparison error rate : PECRと呼ぶ。)

例えば、有意水準αの検定をN回繰り返した場合に犯す偽陽性の推測の回数(の期待値)はαN回である。α=0.05であっても、1万回の検定を行えば、500回は偽陽性の推定を行ってしまうことを意味する。

多重検定の問題が出現する典型的な状況として、遺伝子研究(omics)、分散分析の事後検定、臨床試験における中間解析などが挙げられる。

多重検定の問題を緩和する手法を多重検定の補正法と呼び、様々な手法が開発されている。

関連

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中間解析