定義
コホート研究(cohort study)とは、1つ以上のコホート内における疾病の発生を測定する研究デザインである。「全ての疫学研究の原型」(ロスマン)であり、縦断研究の1種である。
コホート研究の分類
分類1:前向き vs 後ろ向き
コホート研究は「前向きコホート研究(prospective cohort study)と「後ろ向きコホート研究(retrospective cohort study」に分類される。「後ろ向きコホート研究(retrospective cohort study」は「歴史的コホート研究(historical cohort study)」とも呼ばれる。
前向き、後ろ向きとは、研究開始時点と、研究対象の事象(イベント)が実際に生起する時点の、関係を意味する用語である。即ち、前向き研究では研究開始時点で研究対象の事象はまだ起きておらず未来に実現する。後ろ向き研究では研究開始時点で研究対象の事象は既に起きてしまっている。
分類2:特殊曝露コホート vs 一般集団コホート
特殊曝露コホート研究(special-exposure cohort studies)は、特殊な曝露を共有する人々をコホートとする研究である。
一般集団コホート研究(general-population cohort stuides)は、まずは曝露状況とは関係なく、特定された人々をコホートとする研究である。
コホート研究と症例対照研究の関係
コホート研究は原集団全体を対象とする研究である。
症例対照研究は原集団から抽出した標本を対象とする研究である。
つまり両者の違いは原集団からの標本抽出の有無である。
コホート研究を前向き研究、症例対照研究を後ろ向き研究と呼ぶ古い記述もある。しかし今日では前向き、後ろ向きは、研究対象となる情報(あるいは事象)の実現するタイミングに言及するものと理解されている。従ってコホート研究、症例対照研究いずれにも前向き、後ろ向きのものがある。
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