Yamamotoら(1996)は日本における甲状腺乳頭がんでの潜在がんの有病率を剖検研究に基づいて報告した。
408人の連続した剖検症例に基づき、16-82歳の 46症例(11.3%)にて 64の潜在乳頭がん( occult papillary carcinomas ;OPC)を見出した。発生率は男性 26/247(10.5%)、女性 20/161(12.4%)であった。がんの発症率と年齢、性別に有意な相関は見出されなかった。64の病変は全て7.7mm径以下であった。
潜在性甲状腺乳頭がんは核においては乳頭癌の特徴を示したが、成長パターンは腫瘍径によって異なる傾向を示した。即ち1mm径以下のものでは成長パターンは濾胞性であり、3mm径以上のものの70%は乳頭状であった。
がんは被膜形成の有無および線維化の有無により3タイプに分類された。被包化腫瘍encapsulated tumors (ET)、非被包化硬化性腫瘍, nonencapsulated sclerosing tumors (NEST), 非硬化性腫瘍 nonsclerosing tumors (NST)である。
NEST (28症例)とNST (26症例)は全年齢で検出された。ET (10症例)は53以上の症例でのみ検出された。平均腫瘍系は、ET(4.57 mm)、NEST(2.10 mm),NST(0.85 mm)であり有意な差が認めれた。
これらの所見は、乳頭癌は年齢を問わず、濾胞性パターンを呈する微小癌(NST)として始まり、その後NESTやETに変化することを示唆する。腫瘍が成長を続けた場合は、やがて乳頭パターンが優位となる。超微小癌が27の線維硬化性結節のうち2つの病変の連続切片から検出された。
腺腫様甲状腺腫の症例では潜在甲状腺乳頭癌の検出率が有意に高かった。
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