がん辞典

がんの疫学

糖尿病とがん

糖尿病はがんのリスクファクターである。 日本人コホートの疫学研究から以下の結果が得られている(1)。 糖尿病男性は健常男性と比して、全がんが1.27倍、肝臓がんが2.24倍、腎臓がんが1.92倍、膵がんが1.85倍、大腸がんが1.36倍...
3次予防(治療)

Combined androgen blockade(CAB)

同義語 Maximal androgen blockage : MAB 定義 Combined androgen blockade(CAB)とは、LH-RHアゴニストと抗アンドロゲン薬を併用するアンドロゲン遮断療法(Androgen-...
3次予防(治療)

去勢抵抗性前立腺がん(castration resistant prostate cancer)

定義 去勢抵抗性前立腺がん(castration resistant prostate cancer)とは、アンドロゲン遮断療法(Androgen-deprivation therapy : ADT)に耐性を獲得した前立腺がんのことである...
3次予防(治療)

アンドロゲン遮断療法(Androgen-deprivation therapy : ADT)

定義 アンドロゲン遮断療法(Androgen-deprivation therapy : ADT)とは、前立腺がんに対するホルモン療法のこと。 前立腺がんはアンドロゲンを餌にして増殖する。ADTはこの餌であるアンドロゲンを体内からな...
3次予防(治療)

乳がんのサブタイプ(亜型)

定義 乳がんのサブタイプ(亜型)とは、乳がん細胞のマイクロアレイ分析による遺伝子発現プロファイリングにより乳がんを分類したものである。luminal A、luminal B、HER-2、basalの4型に分類するのが一般的である。 ホル...
3次予防(治療)

乳がん治療と乳房再建術

乳がん治療の柱は、手術、薬物、放射線である。これらの抗腫瘍治療と乳房再建術の関係についてポイントを整理する。 乳房切除術との兼ね合い 2次再建の場合、乳癌手術後半年から1年おいてが理想的とされている。 乳房再建術後6ヶ月程度たてば、乳...
3次予防(治療)

胸腺腫瘍の分類

概要 胸腺腫瘍の分類として(1) WHO組織分類(WHO histologic grading system)、(2)正岡分類 (Masaoka staging sysmte)の2つが重要である。 (1) WHO組織分類(WHO his...
3次予防(治療)

放射線治療と併用すべきではない薬剤

抗癌剤 アドリアマイシン ブレオマイシン(肺線維症) ゲムシタビン(本邦禁忌) 分子標的薬 イレッサ 本剤と他の抗悪性腫瘍剤や放射線治療との同時併用における有効性と安全性は証明されていないので、実地医療として...
3次予防(治療)

Head and Neck Charlson Comorbidity Index (HN-CCI)

定義 Head and Neck Charlson Comorbidity Index (HN-CCI)はBojeら(2014)が示した、頭頸部がん患者の生存予後を合併症から予測するための指標である。以下6つの合併症の有無を評価する。 ...
3次予防(治療)

頭頸部がんの病理学的危険因子

頭頸部がんの病理学的危険因子(ミクロ所見)として以下のようなものがある。 日本語 英語 略語 意味 断端陽性 positive surgical margin 手術で摘出した検体の端にがん細胞が存在して...
3次予防(治療)

『ペースメーカーおよび埋め込み型除細動器装着患者に対する放射線治療ガイド ライン』(JASTRO)の要点

ペースメーカーや埋め込み型除細動器を装着している患者さんに対する放射線治療では注意が必要である。 この問題に対してはJASTROが『ペースメーカーおよび埋め込み型除細動器装着患者に対する放射線治療ガイド ライン』というガイドラインを公...
がんの生物学

放射線生物学におけるサイトカインの分類

Schaueらは放射線生物学におけるサイトカインの分類を提唱していている(Schaue 2012)。 抗炎症促進性(pro-inflammatory) : IL-1α, IL-1β, IL-17など 抗炎症性(anti-infl...
3次予防(治療)

タイロゲン(Thyrogen)

タイロゲンとは タイロゲン(一般名:ヒトチロトロピン アルファ(遺伝子組換))とは、遺伝子組換えヒト型甲状腺刺激ホルモンである。 日本ではジェンザイム・ジャパン株式会社が販売している。 タイロゲンの適応 タイロゲンは「分化型甲状...
4次予防(緩和ケア)

がん相談支援センター

がん相談支援センターとは がん相談支援センターとは、「がん診療連携拠点病院」「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に設置されている、がんに関するよろず相談窓口である。 がんの治療、療養生活、地域の医療機関などについて相談することが...
3次予防(治療)

治験(ちけん)

同義語 治験、clinical trial 定義 治験とは、"くすりの候補"(将来、薬としての利用が期待される物質のこと)を人体に使用して、"薬の候補"が薬として国の承認を得るために必要なデータを集めることを目的として実施される、臨床...
3次予防(治療)

Tg抗体(antithyrogloblin, anti-Tg)

甲状腺がんのマネージメントにおいてTgと原則的に同時測定されるべきTg抗体についてポイントを整理した。 臨床的にはTgとTg抗体は常に同時に測定するのが原則であると言える。 Tg抗体は一般人口の10%、甲状腺がん患者の20%で陽...
3次予防(治療)

甲状腺がんにおけるTg(サイログロブリン)の意義

甲状腺がんでは残存腫瘍や再発判定のために腫瘍マーカーとしてTg(サイログロブリン)が使用される。 Tgとは? Tgは甲状腺濾胞細胞でのみ産生される。従って病理検体からTgが検出された場合、その組織は甲状腺由来であると確定診断可能...
3次予防(治療)

TS-1のアドヒアランス

2007年に結果が公開されたACTS-GC (Adjuvant Chemotherapy Trial of TS-1 for Gastric Cancer)は、胃癌(StageⅡ/Ⅲ)術後のTS-1補助療法が生存率を改善することを明らかにし...
3次予防(治療)

前立腺がん術後尿失禁に対する薬物療法

カテゴリ 一般名 製品例 β2作動薬 クレンブテロール スピロペント 三環系抗うつ薬 イミプラミン トフラニール SNRI デュロキセチン サインバルタ 抗コリン薬 プロ...
3次予防(治療)

放射線治療後の下部尿路症状(LUTS : lower urinary tract symptoms)に対する薬物治療

放射線治療後の下部尿路症状(LUTS : lower urinary tract symptoms)に対する薬物治療のポイントを整理する。  外照射(EBRT) 予防投与 外照射での薬物予防投与はエビデンスが乏しい 急性...
3次予防(治療)

休日照射に関するJASTROガイドラインの作成(日放腫会誌 2004)

放射線治療は週5日ペース(平日は毎日照射、土日おやすみ)で行われるのが標準的である。総治療期間をいたずらに延長させることは治療効果を低下させると考えられているためである。従ってゴールデンウィークや年末年始など、休日の多い時期には照射日程のや...
1次予防(発生予防)

がん検診プログラムの国際比較

世界各国でのがん検診の実態には相違がある。National Cancer Instituteの資料などを元に2016/08の調査状況をまとめる。 日本 韓国 米国 カナダ 英国 フランス ドイツ オランダ ...
3次予防(治療)

高分化型甲状腺がんの予後予測システム

世界的に使用されている高分化型甲状腺がんの予後予測システムとして以下の2つがある。 AGES patient Age, tumor Grade, Extent, and Size. AMES patient Age, tum...
3次予防(治療)

分化型甲状腺がんに対する日本と海外の治療方針の違い

Shigematsu(2006)より 世界的に分化型甲状腺がんの治療の第一選択は手術である。 しかし甲状腺やリンパ節の切除範囲は日本と海外では異なっている。 術後放射性ヨード内用療法とホルモン治療の適応、再発がんに対する治療モ...
3次予防(治療)

甲状腺がんの外照射

を元に甲状腺がんの外照射を取り巻く現状を整理する。 甲状腺未分化がん(ATC) EBRT+タキサンの有用性が確立している。現在、これに分子標的薬を上乗せする効果があるかどうかの臨床試験がRTOGで進行中である。 照射単独の場合、通常分...
3次予防(治療)

anterior resection syndrome

定義 anterior resection syndromeとは、直腸・肛門がんに対する低位前方切除術(low anterior resection : LAR)後に起きる、排便回数増加、便が房状になること(clustering)、便失禁...
3次予防(治療)

抗がん剤の視神経毒性

視神経毒性の報告されている抗がん剤 ビンクリスチン(vincrinstine) ニトロソウレア(nitrosoureas) シスプラチン(cisplatin) 5-FU(5-fluorouracil) 髄注メト...
3次予防(治療)

放射線視神経障害(radiation-induced optic neuropathy : RION)

定義 放射線視神経障害(radiation-induced optic neuropathy : RION)とは、放射線照射の有害事象として発生する視神経障害である。発生機序は視神経乳頭(optic nerve head)と視神経の網板板...
3次予防(治療)

化学放射線治療の効果の組織学的判定基準(グレーディング)

がんの化学放射線治療の効果を組織学的に判定する場合に以下の基準が使用されることがある。 出典 Shiga, K., Yokoyama, J., Hashimoto, S., Saijo, S., Tateda, M., Ogaw...
3次予防(治療)

放射線脳壊死(radiation brain necrosis)

放射線脳壊死について、UpDoDateの記事"Delayed Complications of Cranial Irradiation"からポイントを抽出した。 臨床的特徴 RT後1-3年での発症が多い。その他の期間に起きること...
3次予防(治療)

がんの平均在院日数

e-Stat 政府統計の総合窓口 患者調査 平成26年患者調査 閲覧(報告書非掲載表) 年次 2014年 75-1 退院患者平均在院日数,性・年齢階級 × 傷病小分類 × 病院-一般診療所・病床の種類別(総数) 出典
1次予防(発生予防)

森本兼曩(かねひさ)らの8つの健康習慣

定義 森本兼曩(かねひさ)らの8つの健康習慣は、日本人の生活実態に即した実証的データの蓄積がある、健康や長寿をもたらす生活習慣である。内容は以下の通り。 毎日朝食を食べる 毎日平均7~8時間眠る 栄養バランスを考えて...
0次予防(情報リテラシー)

エビデンスレベルの分類

定義 エビデンスレベルの分類とは、個々のエビエンスを信頼性によって分類(格付け)する枠組みのことである。エビデンスを格付けすることはEBMの基本原則である。 エビデンスレベルの分類法は複数提案されている。 分類例(Minds) ...
0次予防(情報リテラシー)

診療ガイドライン

定義 診療ガイドラインとは、これまでに蓄積された医学情報を体系的に比較・吟味し、ある特定の臨床場面での意思決定を支援するために、作成された文書である。 1990年には米国科学アカデミーに属するInstitute of Medicin...
3次予防(治療)

温熱療法

定義 温熱療法は、身体を加温することによって、がんに対する免疫力を増強することを目指す免疫療法の1種である。 分類 温熱療法は「局所温熱療法」(がんのある部分を局所的に温める)と「全身温熱療法」(体全体の温度を上げる)に分類される。 ...
3次予防(治療)

免疫細胞療法

定義 免疫細胞療法は、患者の血液中の免疫細胞を体外に取り出し、体外で免疫力を高めるための処置を施した後に、再び体内に戻して、がんに対する免疫力を高めることを目指す治療法の総称である。今日の免疫治療の中心がこの免疫細胞療法である。 分類 ...
3次予防(治療)

I-131単位換算表(Ci,Bq)

Ci mCi GBq MBq KBq Bq 備考 1 1000 37 37,000 37,000,000 37,000,000,000 3万7千 3700万 37...
4次予防(緩和ケア)

積極的治療(anticancer treatment)

定義 がん治療における積極的治療(anticancer treatment)とは、がん細胞そのものの減少を意図した治療である。 具体的には、手術、放射線、抗がん剤などによる治療である。 関連 緩和ケアと積極的治療の関係(WHO,...
4次予防(緩和ケア)

緩和ケアと積極的治療の関係(WHO,1990)

積極的治療と緩和ケアの関係について、WHOはがん治療に投下できる資源の配分という観点から考察し、旧モデルと新モデル(先進国版と発展途上国版あり)を提示した(WHO,1990)。 原著(1)より概念図を引用します。 以下、...
4次予防(緩和ケア)

進行性慢性疾患の軌跡(Lynnのモデル)

致死的な疾患に罹患し、死に至るまでの軌跡は、疾患の種類によっていくつかに型分けされると考えられている。 19世紀の典型的な死に方は突然死(原因は感染症、事故、出産など)であった。医学の進歩によりこれらの疾患による死亡が減った結果、現代では...
4次予防(緩和ケア)

HBM(human based medicine)

定義 HBM(human based medicine)は、腫瘍内科医である高野利実が提唱する医学の理念である。 高野はHBMを「人間の人間による人間のための医療」とも呼んでいる。 高野は医療の意味を考える時の3つの質問があると言う。 ...
がんの疫学

アフリカのがん医療の疫学

世界がん統計2012 (1) WHOの世界がん統計報告(GLOBACON)では、アフリカは5つの地域(東、西、南、北、中央)に分けられています。 2012年の全世界での推定がん罹患数は1,410万人、死亡数は820万人でした。 同年の...
4次予防(緩和ケア)

『がんを生きる』について

腫瘍内科医の佐々木常夫氏の著作『がんを生きる』という本があります。 本書のテーマ この本のテーマは、宗教なしで死の恐怖を乗り越える術を探ることです。 佐々木氏自身が宗教を持たない人であり、その死に対する考えは「「死んだら終...
がんの生物学

プロテインキナーゼ(protein kinase)

同義語 プロテインキナーゼ(protein kinase)、タンパク質キナーゼ、PK 定義 プロテインキナーゼは、リン酸基を他のタンパク質に付加することによって、付加したタンパク質を修飾する(単純に言えば機能をオン・オフする)...
4次予防(緩和ケア)

終末期ケア(ターミナルケア)

同義語 終末期ケア、ターミナルケア(end-of-life care) 定義 終末期ケア(ターミナルケア)とは、終末期に行われる緩和ケアのことである。 終末期とは、疾病の回復の可能性がなく死期が迫ったと考えられる時期のことである...
4次予防(緩和ケア)

ホスピス(hospice)

定義 ホスピス(hospice)とは、ターミナルケア(終末期ケア)を行う施設のことである。近年では自宅で行う終末期ケアを在宅ホスピスと称することもある。 現代のホスピスの歴史 1967 イギリスの女医シシリー・ソンダースがロンドンにセ...
がんの生物学

ミスマッチ修復機構(系)

定義 ミスマッチ修復機構(系)とは、細胞分裂の歳のDNA複製時におきる核酸塩基のコピーミスを修復する機構である。 ミスマッチ修復遺伝子 ミスマッチ修復遺伝子は、ミスマッチ修復機構に関与する遺伝子群である。 MLH1、MSH2、P...
がんの生物学

核酸(nucleic acid)

定義 核酸(かくさん)は、リボ核酸(RNA)とデオキシリボ核酸(DNA)の総称である。 拡散の構成要素は、塩基、糖、リン酸である。(核酸の構成要素である塩基を核酸塩基と呼ぶ。) 塩基、糖、リン酸はヌクレオチドを構成する。ヌクレ...
がんの生物学

腹膜偽粘液腫(pseudomyxoma peritonei)

同義語 腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえきしゅ pseudomyxoma peritonei ; PMP) 腹膜仮性粘液腫(ふくまくかせいねんえきしゅ) 膠腹(Gallenbauch) 定義 腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえき...
がんの生物学

ファーマコゲノミクス(pharmacogenomics)

同義語 ゲノム薬理学 定義 ファーマコゲノミクス(pharmacogenomics)とは、「薬物応答と関連するDNA及びRNAの変異に関する研究である」(PMDA『ゲノム薬理学における用語集』の定義より) 参考
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