基礎知識
- 原発不明がん(Carcinoma of unknown primary: CUP)
- 原発不明がんは全悪性腫瘍の 3-5%
- 原発不明がんの20-50%は剖検しても原発不明
- 原発不明がんは多くの場合、発症時に病変多発しており予後不良。mOS:4ヶ月(3-11mos)、1y生存率:22%(12-43%)、5y生存率5%(1-11%)
- 転移部位: リンパ節(42%)、肝(33%)、骨(29%)、肺(26%)
- 原発不明がんは2群に分類される
- (1) 特定の治療が可能な予後良好なサブグループ (Favorable subset) 20%
- (2) それ以外のサブグループ (Unfavorable subset) 80%
- 予後不良因子としてPS、LDH高値、肝転移が重要
治療別にみた原発不明がんの分類
- 特定の治療を有するサブグループ (Favorable subset)
- 1) 中心線上に発生した未分化癌(Extragonadal germ cell syndrome)||
- 2) 女性の腹腔内乳頭状腺癌
- 3) 女性の腋窩リンパ節の腺癌の転移
- 4) 頸部リンパ節の扁平上皮癌のリンパ節転移
- 5) 鼠径部の扁平上皮癌のリンパ節転移
- 6) 低分化の神経内分泌癌
-
7) 男性の骨硬化性骨転移でPSA高値
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特定の治療のないサブグループ (Unfavorable subset)
- 1) 肝転移
- 2) 乳頭状腺癌以外の癌性腹膜炎
- 3) 多発脳転移
- 4) 多発肺転移
- 5) 多発骨転移
病理分類
| 光学顕微鏡診断 | 最終診断 | 頻度 |
|---|---|---|
| 腺癌(高・中分化)(60%) | 特定の治療を要するサブグループ | 6% |
| サブグループ以外 | 54% | |
| 腺癌(低分化)未分化癌(30%) | リンパ腫、肉腫、黒色腫 | 3% |
| 到底の上皮性悪性腫瘍 | 1% | |
| 腺癌(低分化)未分化癌 | 26% | |
| 未分化悪性腫瘍(5%) | リンパ腫 | 3% |
| 未分化癌、低分化腺癌 | 1% | |
| 黒色腫、肉腫、その他 | 1% | |
| 扁平上皮癌(5%) | 特定の治療を要するサブグループ | 4% |
| サブグループ以外 | 1% |
- 上皮性悪性腫瘍の場合、サイトケラチン(CK)の表現形の組合わせで原発臓器の推定を行う → CK7とCK20の組み合わせによる判別表あり(未掲載)
診断
- 腫瘍マーカーとして以下のものが有用
| 疾患/目的 | 悪性腫瘍 |
|---|---|
| Extra-nodal germ cell syndrome | αFP、β-HCG |
| 癌性腹水を有する女性 | CA125 |
| 骨転移を有する男性における前立腺癌除外目的 | PSA |
| 甲状腺がん除外目的 | サイログロブリン |
- 画像検査としてPETが有用。感度 84%、特異度 84%
- 腋窩リンパ節(+)例での乳腺の検索にはPETよりもMRIの方が優れている
治療
- 今日の標準は TC (カルボプラチン+タキサン=パクリタキセル) 奏効率30-40%、mOS 12ヶ月超の報告もあり
- 1980年代はシクロフォスファミド、アドリアマイシン、5-FUなど → その後プラチナ登場 → 1990年代にはタキサン、ゲムシタビン、イリノテカンなどの導入
中心線上に発生した未分化癌(Extragonadal germ cell syndrome)
- poor riskの胚細胞腫瘍に準じた治療。BEP(ブレオマイシン+エトポシド+シスプラチン)
- 完全寛解率:15%、長期生存率:15%
女性の腹腔内乳頭状腺癌
- FIGOIIICの卵巣癌に準じた治療。
- 手術(子宮全摘、両側付属器切除、大網切除、骨盤・傍大動脈リンパ節領域郭清) + 術後化学療法(プラチナ+パクリタキセル)
- mOS:30m(15-42m)
女性の腋窩リンパ節転移
- 乳癌II期に準じた治療
- 乳房切除術や腋窩郭清+接線照射など
- 局所制御率 75-85%、5yOS:70%(59.4-88%)
頚部リンパ節転移
- 頭頸部がんの約3-5%を占める
-
扁平上皮癌や未分化癌では喉頭癌、咽頭癌で原発巣が早期/潜在性な癌として治癒可能と考えられている
-
上内深頚リンパ節や後方・副神経リンパ節腫脹 → 上咽頭
- 上~中内深頚リンパ節 → 扁桃や舌根、下咽頭、喉頭
- 顎下リンパ節のみ → 口腔
- 下頚部や鎖上リンパ節 → 頭頸部がん or 食道や肺など鎖骨以下の可能性もある
-
腺癌 → 頭頸部では唾液線や甲状腺、頭頸部以外では肺癌など
-
処方線量は 60Gy程度
- CRTによる良好な成績が報告されている
鼠径部の扁平上皮癌
- 生殖器、肛門、下肢の原発を疑う
- 5y生存率 37.5%との報告あり
- SCCは腺癌より予後料校
- 外陰部や肛門への照射は不要と考えられている
低分化の神経内分泌癌
- 高悪性度群(低分化)と低悪性度群(高分化)に分類される
- 高悪性度群(低分化)では小細胞肺癌に準じた治療。2y生存率 33%、3y生存率24%との報告あり。
- 低悪性度群はカルチノイドに類似した腫瘍であり、オクトレオチド(ソマトスタチンアナログ)が投与検討されるが、腫瘍縮小効果が得られることはまれ。
男性の腺癌骨転移、PSA高値
- 前立腺癌に準じて抗アンドロゲン療法を行う
- 骨転移は外照射やSr-89内用療法などを行う。
その他の治療(骨転移)
- 原発巣(頻度順): 肺、前立腺、骨髄腫、悪性リンパ腫、乳腺、肝臓
- 2段階検索法が行われる
その他の治療(脳転移のみ)
- 原発不明の脳転移は脳転移全体の15%にも達する
- 腺癌が多い
- 原発巣(頻度順):肺、乳腺。
- 膵臓癌も多い。
- mOS:4.8-13.4mos(原発判明例の予後と同じ)

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