7-45 直腸癌

基礎知識

  • 日本では年間4万人が大腸癌で死亡(2008)

解剖

  • 解剖学的には直腸とは、腸間膜を失う第2仙椎以下の高さの結腸
  • 外科手術的には直腸とは、直腸S状部を含む広角の高さ以下の部分
  • 下部直腸ほど狭く、腹膜に包まれない上、骨盤に囲まれており、直腸は下部ほど手術が難しい
  • 再発直腸がんは極めて難治性である
  • 直腸は(他の骨盤内臓器と同様)骨盤神経による支配を受ける。骨盤神経叢は下部直腸レベルでは直腸と側方リンパ節の間を走行する → 側方リンパ節郭清で障害される危険性がある
  • 骨盤神経叢障害 : 膀胱機能障害(排尿機能、蓄尿機能)、性機能障害(勃起、射精)、肛門機能障害(括約機能、知覚機能)
  • 直腸の血管支配は2系統
    • IMA → 上直腸動脈
    • 内腸骨動脈 → 中・下直腸動脈
  • リンパ流
    • 傍直腸リンパ節(直腸間膜内)
    • 上方向リンパ節(下腸間膜動静脈沿い)
    • 側方リンパ節(内腸骨動静脈沿い)

病期分類

  • TNMの他、DUKES分類やがん取扱規約がある

治療方針

  • RTの意義は局所再発の抑制である。生存への寄与は証明されていない。
  • 術前照射と術後照射では術後照射の方が有害事象が多い(手術による小腸の骨盤底への落ち込みと癒着による)
  • 高い局所制御率が必ずしも肛門温存に結びつかないとの指摘あり
  • NCCNガイドラインでは下部直腸に局在するT3or所属リンパ節転移(+)例を、NARTのよい適応としている。T4 or 切除不能症例は手術適応拡大や臓器温存を目指して、T2は肛門に近い場合肛門温存を目指して適応になることあり。
  • 骨盤を超えるリンパ節転移は全身疾患の可能性が高く、原則的にNARTの適応ではない

下部進行直腸がんの術式、転移、再発部位

  • 下部直腸は直腸間膜(mesorectum)に包まれている。原発巣および最も転移頻度の高い傍直腸リンパ節はmesorectumに含まれる。
  • 標準術式はTME(total mesorectume excision) or ME(mesorectum excision)
    • TME : 直腸間膜内の全範囲を切除
    • ME : 腫瘍下縁から4cm以上の直腸間膜全周を切除
  • リンパ節転移の頻度 : 傍直腸(87%)、上方=下腸間膜動静脈沿い(56%)、側方(27%)
  • 局所再発部位 : 後方(仙骨前面など)(49%)、側方(21%)、下方(会陰部など)(12%)、前方(膀胱近傍など)(17%)
  • RTの重要ターゲット : 直腸間膜内(原発+傍直腸リンパ節)、側方リンパ節、仙骨全部

放射線治療

  • 腹臥位により小腸線量を低減できる可能性があるが、患者にとってラクな体位ではない
  • 上方リンパ節は転移頻度は高いが郭清が容易であり、かつここを照射すると小腸線量が増加するため、照射範囲に含めない
  • 外腸骨リンパ節は、腫瘍が骨盤前方の臓器に浸潤している場合、つまりT4で転移の可能性があるが、T4例の照射目的は主に膀胱温存(縮小手術)であるため、予防照射の意義は疑問がある
  • 処方線量 : 総線量45-50Gy。1回線量 1.8-2.0Gy。

併用療法

  • 5-Fuとleucoorinが標準
  • 日本ではUFT/LV、S-1など
  • FOLFOXやbevaciumabなど

手術とNARTの時期

  • NART後2週間以内より6-8週間おいてから手術した方が治療効果が高い (Lyon R90-01)

治療成績

  • ダウンステージング(T因子) 58%、病理学的腫瘍消失 19%、Rbにかかる下部進行直腸癌での肛門温存率 75%
  • NART併用すれば局所再発は数%に抑えられる

有害事象

  • 急性期 : RTと5-Fuによる下痢
  • 但し治療完遂率は 95%
    + 晩期有害事象 : 肛門機能低下

側方リンパ節

  • 欧米は明らかな転移がない限り郭清しない、日本は積極的に郭清
  • 拡大リンパ節郭清(=側方リンパ節郭清)
  • 側方リンパ節郭清では、排尿、性機能障害が多い → 日本独自の自律神経温存側方リンパ節郭清の展開。
  • ここと直腸の間を骨盤神経叢が走っている
  • 側方リンパ節転移例の予後は肝転移切除例、肺転移切除例とほぼ同等

仙骨前再発

  • 仙骨合併切除が必要な症例が多い → X線 45-50Gyでの根治は不可能 → 炭素線が有望

転移性大腸癌の陽子線治療

  • 転移性肝腫瘍の陽子線治療の局所制御率は約 90%

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