基礎知識
- がんに対する手術成績の短期評価指標として、「手術合併症率」と「手術死亡率」がある
- 手術死亡は術後”30日”以内の死亡を指す。30日以降の場合は合併症死とする。
- 欧米ではリンパ節転移は全身疾患とする考え方が支配的であり、リンパ節郭清の目的は正確な病気診断であり治療的意義は乏しいとされる。
- 日本では所属リンパ節にとどまる転移は局所疾患であり、手術切除により治癒可能なため、原発巣とみなして十分覚醒するという考え方が基本である。
ASA分類
- 手術リスクの分類としてASAの分類(American Society of Anesthesiologists)がある。
| 度数 | 定義 |
|---|---|
| 1度 | 手術対象となる疾患以外に、全身的に疾患がない。手術対象の疾患は局所的で、全身障害を起こさない。 |
| 2度 | 軽度ないし中等度の全身疾患を有する。 |
| 3度 | 重篤な全身疾患を有する。 |
| 4度 | 重篤な全身疾患を有し、生命の危険な状態 |
| 5度 | 死にかかった状態で、生存の可能性はほとんどないがーイチかバチかの手術を受ける |
手術関連のエビデンス
- 大腸癌肝転移では切除可能だった場合、5y生存率が40%との報告あり。
- 小児横紋筋肉腫のPORT、直腸癌の術前照射、膵癌の術中照射で局所制御率向上の報告あり。
手術の分類
- 標準手術、拡大手術、縮小手術、減量手術、姑息手術などがある
- 減量手術とは、主として化学療法やホルモン療法に反応性の高い腫瘍に対して、腫瘍塊を可及的に切除することにより、薬物治療の効果を高め治癒あるいは延命を目指すための手術である
拡大手術が否定された例
- 胃癌の大動脈周囲リンパ節郭清はD2(2群リンパ節郭清)との比較試験で意義を否定された(JCOG)
- 膵癌ではリンパ節郭清を含めた後方組織の拡大郭清や門脈・冠動脈合併切除が試みられてきたが、特に動脈合併切除は合併症が多いなどの理由から今日ほとんど行われない
- 直腸癌ではリンパ節郭清(特に側方郭清)と神経郭清を徹底した時期もあったが、予後改善せず、排尿・性機能障害を高頻度に生じるため、自律神経温存手術が考案された
センチネルリンパ節生検
- 乳癌と悪性黒色腫で実用化されている
- 消化管ではセンチネルリンパ節の概念があてはまるか不明
- トレーサーとしてアイソトープ(Tcスズコロイドなど)、色素(インジゴカルミン、メチレンブルー、ICGなど)が用いられる
肝移植
- 悪性腫瘍で肝移植の保険適応があるもの: 肝細胞癌(HCC)、小児肝芽腫
- HCCい対する肝移植の保険適応
- その他の治療が適応できないほどの肝機能を示す肝硬変の存在
- 単発であれば腫瘍最大径が5cm以下、2-3個であれば腫瘍最大径が3cm以下(ミラノ基準)
- 明らかな遠隔転移や脈管侵襲がない
- 日本のHCCに対する肝移植の成績 : 全症例で5y生存率約 70%、ミラノ基準内に限定すれば約 80%

コメント