ざっくり言うと
- 早期(Ⅰ/II期)の口腔癌の局所制御率は高い 80-90%以上
- 放射線治療は金粒子刺入、モールド治療が重要な役割を果たす
- 早期口腔癌でも3割に頚部リンパ節転移が出現する → これが最大の予後因子
- 重複癌(毎年3%)、二次発癌(治療後10年で1-2%)があるが、いずれも治療可能であり、治療成績は通常の1次癌と同様
- 舌以外の口腔癌の亜部位は5つあるが、軟部組織量の多少から2つに分類される。軟部組織多:口腔底癌、頬粘膜癌、軟部組織少:上・下顎歯肉癌、口蓋癌
基礎知識
- 口腔癌の内訳 : 舌癌(1/2)、口腔底癌(1/8)、頬粘膜癌(1/8)、上下顎歯肉癌+口蓋癌(1/4)
- (1)軟部組織の多い口腔底癌、頬粘膜癌と(2) 軟部組織の乏しい上下歯肉癌、口蓋癌で特徴が異なる。
- (1)軟部組織の多い口腔底癌、頬粘膜癌 → 多くの場合、術前/術後照射を行う
- (2) 軟部組織の乏しい上下歯肉癌、口蓋癌 → 骨浸潤が起こりやすいくほとんどが術前/術後照射の適応
- (1)軟部組織の多い口腔底癌、頬粘膜癌 → Ⅰ・Ⅱ期は放射線金粒子直接刺入によるRT単独治療の適応
- (2) 軟部組織の乏しい上下歯肉癌、口蓋癌 → 骨浸潤のない症例に対してモールド治療(軟組織が少ないため金粒子刺入は困難)
病期分類
- 口腔癌の亜部位
| 亜部位 | |
|---|---|
| 舌 | |
| 頬粘膜(1:上下口唇粘膜、2:頬粘膜,3:臼後部,4:歯肉頬移行部) | |
| 上顎歯肉 | |
| 下顎歯肉 | |
| 口蓋 | |
| 口腔底 |
- T因子。長径2cmまで → T1。2cm~4cm → T2、4cm以上 → T3。骨、皮膚、筋肉深くまで浸潤 → T4。
治療方針
放射線治療
- 舌以外の口腔がんの根治RTは放射線金粒子によるLDR小線源治療が推奨される
- 舌以外の口腔粘膜は舌よりも放射線耐容線量が低い
- HDRの欠点は、線源誘導管の挿入に全身麻酔が必要なことである。HDR1回治療では晩期有害事象が多発するため、線量は1日2回、3ー5日での分割照射が推奨される。
外照射(術前)
- 外照射(N0術前) : 1次リンパ節までをCTV。外照射(N+術前) : 転移リンパ節の次のリンパ節までをCTV。
- 術前照射の意義は予後改善より術式改善の意味が大きい。
外照射(術後)
- 術後照射: 断端陽性、節外浸潤陽性、転移リンパ節3個以上で適応となる。節外浸潤のない2個までの転移リンパ節例では術後照射のエビデンスはない。
外照射(根治)
- 処方線量
| 照射方法 | 処方線量 |
|---|---|
| 根治(RT単独) | 70Gyが標準 |
| 根治(CRT) | 60Gyが限界(粘膜炎のため) |
| 術前 | 40Gy/20Fr |
| 術後 | 50Gy/25Fr |
| 金粒子永久刺入 | 70Gy/7日となる全崩壊量85Gy |
| 外部照射 → 金粒子刺入 | 外照射 30-40Gy → 粘膜炎消退後に 60-65Gy/7日 |
治療成績
| 病期・治療法 | 治療成績 |
|---|---|
| 放射性金粒子永久刺入によるⅠ/II期口腔底癌、頬粘膜癌 | 局所制御率 90%、5y原病生存率 80% |
| Mould法による歯肉/口蓋がん治療 | 5y原病生存率 80% |
口腔近傍の癌
- 口唇癌、中咽頭側壁・上壁癌のⅠ・II期は、早期口腔癌同様、根治小線源治療の適応となる
- 口唇癌は上顎癌同様リンパ節転移が極めて少ない
- 口腔近傍の癌の外部照射では口腔乾燥、顎骨壊死などの晩期障害は10%を超える。
- 小線源の治療成績は局所制御率 90%以上、積極的な治療を要する晩期合併症 2%以下
口腔癌と頚部リンパ節転移
- Ⅰ・II期口腔癌のRTでは局所制御率90%以上であり、最大の予後因子は原発巣治療後に診断される頚部リンパ節転移である
- 初診時N(-)のⅠ・II期口腔癌で治療後1年に30%強の患者に頚部リンパ節転移が出現する。
- 頚部リンパ節転移への外部照射の成績は30%前後であり、郭清手術の半分程度である。
- N0口腔癌に対する予防的頚部郭清術や予防的頚部照射についてのエビデンスはない
- 頸部郭清術後に節外浸潤(+)、転移リンパ節数3個以上、最遠位転移リンパ節のレベルがIII以上の場合予後不良 → これらの症例に50Gyの頚部術後照射で予後が改善する
重複癌
- Ⅰ・II期頭頸部SCCでは初診時に2-3%の症例で頭頸部に同時癌が診断される。治癒後も毎年3%の頻度で継続的に気道・上部消化管癌が発生し続ける。
- 2次癌も根治可能なことが多く、1次原発癌と治療成績はほぼ変わらない。
放射線誘発癌
- Ⅰ・II期頭頸部がんの局所再発は6年以内、頸部リンパ節転移は3年以内に通常終息する。治療後10年までに1-2%の照射野内再発癌がある。
- 頭頸部良性疾患に対するRTでは3%前後の照射野内放射線誘発癌がある
- 放射線誘発癌への手術治療成績は、同じ病期の一次原発癌とほぼ同様。

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