7-20 眼球・眼窩腫瘍

基礎知識

  • 視覚は先カンブリア時代末、約5億4300万年前に原資三葉虫が初めて獲得した
  • 眼球は3層構造; 外層(角膜・強膜)、中間層(虹彩・毛様体・脈絡膜)、内層(網膜)
  • 眼房水は水晶体、角膜内皮、角膜固有層の酸素・栄養を司る
  • 中心窩を中心とした直径2mmの部位を黄斑と呼ぶ(キサントフィルという黄色い色素が豊富なため)
  • 眼球は通常約 7μlの涙で覆われている。涙の基礎分泌は1日に約1mlである

放射線有害事象

  • 眼球で最も放射線に弱いのは水晶体。通常分割で10Gyを超えると白内障を発症する。
  • 角膜の耐容線量には涙腺障害による涙分泌低下も関与するため、涙腺の線量と共に検討しなければならない
  • 涙腺の障害は乾性角結膜炎(ドライアイ)をもたらす。30Gy未満ではシビア・ドライアイ(角膜混濁・潰瘍・血管新生を伴う)はない。32-45Gyでは19%、57Gy以上では必発。シビアドライアイの発症時期は9-10ヶ月である。45Gy以下の線量では4-9年後に発症する。
  • 放射線網膜症(=網膜の血管障害)は45Gy以下ではまれ。
  • 視神経の耐容線量は50Gy。

腫瘍の分類

  • 眼球腫瘍 : 脈絡膜悪性黒色腫、脈絡膜転移、網膜芽細胞腫
  • 眼窩腫瘍 : 悪性リンパ腫

脈絡膜悪性黒色腫

  • 発症には紫外線の影響がある
  • 放射線治療は外照射または小線源

ABS(American Brachytherapy Society)の分類

分類 定義
Small-size tumor 腫瘍径<10mmかつ厚み<2.5mm
Medium-size tumor 腫瘍径=<16mmかつ厚み<2.5-10mm
Large-size tumor 腫瘍径>16mmまたは厚み>10mm
  • small-size tumorでは経過観察する
  • mdeium-size tumorでは手術と小線源治療の生存率が同等
  • 粒子線治療はmedium-size, large-sizeに適応がある

  • 標準的な治療成績: 炭素線 3yOS:88.2%、3yPFS:84.2%、局所制御率:97.4%

網膜芽細胞腫

  • 分類:病変が眼球内にとどまる intraocularと眼球外に転移を伴う extraocularに分類する
  • intraocular の 5yOSは90%以上
  • extraocularの 5yOSは10%以下
  • 遺伝性網膜芽細胞腫の50年後の二次がんの発生頻度は 51%
  • 処方線量; EBRT:40-45Gy/20-25Fr、小線源治療:40-45Gy
  • 治療成績: ICR分類 group A,B,Cでは眼球温存率9%。Group Dでは同 50%。

脈絡膜転移

  • RTの目的: 増大防止 → 視力の維持回復
  • 処方線量 30Gy/10Frや40Gy/20Fr
  • 治療成績: CR率39%、PR率26%

悪性リンパ腫

  • 眼窩悪性リンパ腫は低悪性度で局所にとどまっていることがが多くその場合、RTが第一選択
  • 低悪性度以外ではケモ先行し、治療効果により再発予防のための外照射追加を検討する
  • CTVは眼窩全体とすべきという報告がある。一方、retrobulbarい発生した、辺縁明瞭な腫瘍の場合には部分照射も容認できるとの報告もある。20-30Gyにて90%を超える局所制御が期待できる。
  • 処方線量: 低悪性度では20-30Gy/10-20Fr、低悪性度以外 30-40Gy/15-20Fr
  • 治療成績: 局所制御率 90%以上
  • 有害事象: 乾性角結膜炎、流涙、強膜充血が30%弱。白内障と軽度の放射線網膜症が20%弱。

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