要約
背景
小児にでは事故に続き、がんは死因の第2位である。
がんの小児の末期における症状と苦痛についてはほとんど知られていない。
方法
19990-1997年にボストンの子供病院、Dana-Faberがん研究所、あるいは両方で治療を受けがんで死亡した小児の両親に1997,98年にインタビューを行った。医療記録をレビューして追加の情報を取得した。
結果
165名の候補となった両親のうち、103名(62%)にインタビューを行った。98名は電話で、5名は対面で。
インタビューは子供の死から平均(標準偏差)3.1±1.6年で実施された。
80%が進行する疾患により、20%が治療関連の合併症により死亡した。
49%のこどもが病院で死亡した。これらの死の約半数がICUで起きた。
両親によれば、最後の1ヶ月に89%の子供たちが少なくとも1つの症状によって”大いに(a lot)”、”非常に(a great deal)”苦しんでいた。最も頻繁な症状は疼痛、疲労、呼吸困難であった。特定の症候に対して加療された子供たちのうち、疼痛の患者では27%、呼吸困難の患者では16%だけが治療が奏功していた。
医療記録のレビューからは、両親は医師よりも子供たちの疲労、食思不振、便秘、下痢をよく報告していた。医師が能動的に終末期ケアに関わっていないと報告した両親の子供において、疼痛による苦痛はより多かった(オッズ比 2.6 ; 95% CI 1.0-6.7)。
結論
がんで死亡した子供たちは終末期において積極的な(aggressive)治療を受けていた。多くの子供達が人生最後の1ヶ月で大きな苦しみを味わっており、それらの症状をコントロールしようとする試みはしばしば失敗していた。がんで死亡する子供達の緩和ケアに大いに注意が払われる必要がある。
導入
ある研究によれば25%の患者が中等度~高度の疼痛を人生最後の3ヶ月に体験する[7]。
小児がんの治療では根治が目標となるため、根治の可能性が乏しい場合にも、医師にとって焦点を変えることが難しい。
結果
両親の年齢は平均43±7.7歳であった。
インタビューに応じなかった両親の子供では、インタビューに応じた両親の子供よりも心肺蘇生が行われる確率が高かった(26% vs % p=0.03)。
治療関連死した子供は血液腫瘍が多く、受けたがん治療のレジメンが少なく、骨髄移植を受けることが多かった。
66%でDNRが取得されていた。原病死した子どもたちでは死の平均33.6日前、治療関連死した子どもたちでは死の平均1.7日前に取得されていた。
疲労、疼痛、呼吸困難、食思不振が最も多い症状であった。
平均的に、治療関連死した子どもたちは原病死した子どもたちよりも多くの症状に苦しんでいた。(3.4 vs 2.5, p=0.03)
両親によれば、人生最後の1ヶ月で大半の子どもたちは楽しむことがなく(53%)、悲しげであり(61%)、ほとんどの時間に落ち着いて平静ではなかった(63%)。21%はしばしば恐怖していた。治療関連死した子どもたちは原病死した子どもたちよりも、楽しみの程度(p=0.03)、悲しみの程度(p=0.03)、気分(p=0.002)から見てQOLが低かった。
◆疼痛関連の苦しみに関係する因子(表なし)
単変量解析では、子供の疼痛による苦しみに関連する要素として両親が報告したものは、腫瘍医の積極的な参加の欠如と医療者から相矛盾する情報を受け取ることであった。
ロジスティック回帰モデルでは、腫瘍医の積極的な関与の欠如は、医師のクラスタリング、子供の死からインタビューまでの期間、死因、死亡時の子供の年齢、死亡した場所を調整しても有意であった(オッズ比 2.6; 95% CI 1.0-6.7)。
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