[R]epi::Lexis : 集団ベースの経過観察研究のデータを表現するオブジェクト

Lexisオブジェクトは集団ベースの経過観察研究のデータを表現するオブジェクトであり、データフレームをもとにLexis()関数で構築する。いったんLexisオブジェクトを構築してしまいさえすれば、以後はこのオブジェクトに対して用意されている{epi}パッケージなどの様々な便利な関数を使用した解析処理が実行可能である。いわば様々な解析用関数への入口となるオブジェクトである。

説明

通常の長期の集団ベースの経過観察研究(long-term population-based follow-up studies)の分析では、年齢、暦年、イベントからの経過時間などの複数の時間軸(time scales)を考慮に入れる必要がある。

Lexisオブジェクトはこれら複数の時間の次元を管理することを可能にするために、{epi}パッケージで定義されたオブジェクトである。実体としてはデータフレームにいくつかの追加の属性(列)を追加したものである。

現在(観察会指時)および観察終了時のステータスを別々の変数に保存するため、複数の状態を取るデータを表現することができる。

Lexisオブジェクトはドイツ人の人口学者Wilhelm Lexis (1837-1914)の名前にちなんで命名された。彼は複数の時間軸での人口動態を同時に表現する方法であるLexis図(Lexis diagram)の発明者として知られている。

{epi}パッケージに定義されたLexis()関数は、各行に経過観察のヒストリーを定義するための変数だけを持つ最小限のLexisオブジェクトを生成することができる。更に追加の変数をLexisオブジェクトに対するmerge()メソッドを使用することにより追加することもできる。後者がデフォルトである。

Lexisオブジェクトには、merge()、subset()、transform()のメソッドも定義されており、これらはデータフレームに対するこれらの関数に対応する。

Lexisオブジェクトで追加されている特殊列は以下の通り。

lex.id 個人ID

lex.dur 経過観察期間

lex.Cst 観察開始時のステータス(現在のステータス、 Current state)即ち経過観察を実施した時点でのステータス

lex.Xst 観察終了時のステータス(eXit state) 即ちlex.Cstからdur後の状態

もし merge=TRUE (デフォルトである)ならLexisオブジェクトはdata引数からの全ての変数を引き継ぐ。

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