原題
Toxicity and Outcomes in Patients with and without Esophageal Stents in Locally Advanced Esophagus Cancer
要約
目的
局所進行食道がん患者の嚥下障害の改善目的に食道ステントはしばしば使用される。
化学放射線療法で治療される局所進行食道がん患者の急性期有害事象と腫瘍学的アウトカムに与える食道ステントの影響を調べることが目的である。
対象と方法
局所進行食道がんに対して根治目的の治療を筆者らの施設でうけた患者をレトロに分析した。
ステントあり群 vs ステントなし群:人口学的および腫瘍の特徴 → χ二乗検定ないしFisher正確検定
急性期有害事象の予測変数 → 単変量および多変量ロジスティック解析
生存に対するステントの効果 → 傾向スコアマッチング解析(with shared frailty Cox hazard regression)、
急性期有害事象はCTCAE ver.4で評価
結果
2004-2013、CRTを受けた連続する患者103名。
28名がCRT中にステントあり。
線量中央値は50.4Gy。
急性期有害事象 G3以上(ステント群 71% vs ステントなし群 27% ,p <0.01)
食道炎(39% vs 20%, p=0.05)
脱水(29% vs 13%, p=0.07)
食思不振(14% vs 5%, p=0.13)
食道切除術実施:ステント群 29% vs ステントなし群 51% (p=0.05)
多変量解析で急性期有害事象の唯一の予測因子はステント留置(OR 8.1, p<0.01)
傾向スコアマッチ後、ステントあり患者の予後が有意に不良であった( 11.5 vs 22.0ヶ月 , HR 2.3, p =0.016)
結論
根治目的のCRTを受ける局所進行食道がん患者において、ステント留置は、G3以上の急性有害事象の有意な増加、食道切除術への進める率の有意な低下、OSの有意な増悪と関係していた。
導入
食道ステントの有害事象
一般的なもの:胸部不快感/疼痛、マイグレーション
重篤なもの:食道穿孔、食道瘻孔、膿瘍、死亡
食道ステントは緩和目的で利用が始まったが、現在では根治目的の治療計画の中で手術までの橋渡しとして使用される機会が増えている
方法
嚥下障害スケール
0:嚥下障害なし
1:通常の固形物に対する嚥下障害あり
2:軟らかい固形物に対する嚥下障害あり
3:液体に対する嚥下障害あり
4:嚥下不能
食道がんの位置(AJCC ver.7)
切歯からの距離で分類
頸部:15cm
上部:20cm
中部:25cm
下部:30cm
食道胃接合部(GEJ):40cm
統計
ステント留置を予測する傾向スコアモデルに投入された変数:年齢、性別、臨床病期、T、N、当初KPS、腫瘍位置、腫瘍グレード、組織型(SqCC or Adeno)、処方線量、化学療法の種類、CRT前の30日以内の入院
結果
ステント留置後、マイグレーションまでの期間中央値15.5日(3-88日)
組織型:腺癌がほとんど (ステント群の96%、ステントなし群の89%, p=0.26)
病変の位置:胸部下部がほとんど(ステント群の93%、ステントなし群の89%, p=0.62)
ステント留置患者の74%でステント留置後1週間で嚥下スコアが改善した
CRT終了から手術までの日数中央値59日
28%の患者に急性の血栓イベントが発生した
考察
ステントは嚥下障害を改善するが、栄養状態を改善するかどうかは不明である。
Jonesらのレビューでは食道ステントは、栄養状態、血清アルブミン、体重に対する明らかなベネフィットはなかった→ネオアジュバントの状況では食道ステントは推奨できないとの結論
金属ステントは後方散乱により粘膜線量を増加させ、これが有害事象の増加につながる可能性がある[4,25]
本研究はステントの有無が急性期有害事象に与える影響を比較可能な形で示した初めての研究である
ステントの代わりに食道切除術を予定する患者にはJ-tube(jejunostomy tube、空腸瘻)、手術を予定しない患者にはPEGを使用することを著者らは推奨している。


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