[論文] Radiation Dose–Volume Effects in the Heart.

原題

Gagliardi G, Constine LS, Moiseenko V, Correa C, Pierce LJ, Allen AM, et al. Radiation Dose–Volume Effects in the Heart. International Journal of Radiation Oncology*Biology*Physics. 2010;76: S77–S85. doi:10.1016/j.ijrobp.2009.04.093

キーワード

放射線による心臓障害

背景

  • ほとんどの心毒性に対する、明確かつ定量的な線量 and/or 体積依存性は示されていない。これは主としてデータそのものの欠乏による。
  • 年齢、合併症、ドキソルビシンの使用などいくつかの臨床的因子は、心毒性のリスク高めると考えらている。

エンドポイント

  • 急性期障害はしばしば心外膜炎として発症し、通常一過性であるが時に慢性化する。
  • 晩期障害はしばしばうっ血性心不全(CHF)、虚血、冠動脈疾患(CAD)、心筋梗塞(MI)として発症する、照射後数カ月後から数年後で発症する。これらが臨床的にはより重要である。
  • ある状況下では、RT誘発性心疾患は補助RTによるがん特異的生存の改善を相殺してしまう(早期乳癌やHLなど)。ホジキンリンパ腫の放射線治療後長期生存者における第一の死因は心血管死である。
  • 全体的に言えば、照射後の、臨床的に意味のある心イベントの相対リスク (RR) は、1.2-3.5の範囲にある。
  • 亜臨床的な異常はより一般的であり、 最大50%の患者に見られると指摘されている( 関連する合併症および検討するエンドポイントの感度によるが)

体積決定における問題

  • RT誘発毒性に対し心臓のどの領域が機能的に最も重要であるのか、という問題には不確実性が残っている。

線量/体積因子のレビュー

  • 放射線因子: 心イベントのリスクは線量および照射体積に関連すると考えられている。

リスクに影響する因子

  • 放射線関連心疾患は、ベースとなる患者の心リスク因子や心毒性のある化学療法の影響を受けるというエビデンスがある。
  • 大規模研究により心疾患に関連する因子は既に特定されている。例えばFramingham and Reynolds risk models は十分に検証されたされたモデルであるが、ベースとなる心リスク因子(即ち年齢、性別、糖尿病(及びHbA1c)、喫煙、高血圧、総コレステロール、LDL、HDL、高感度CRP、両親の早期(60歳未満)での心筋梗塞の家族歴など)の存在の有無、数、重症度に基づいて、将来の心イベントのリスクを推定可能である。
  • RTなしの場合、アンスラサイクリンには拡張型心筋症およびうっ血性心不全の蓄積用量依存性のリスクがあることが知られている。即ち、ドキソルビシンでは < 550mg/sqm、エピルビシンでは < 900mg/sqmで1-5%のリスクであり、これらを超えると急激にリスクが増加する。

著者たちの推奨

  • 乳癌患者では、標的のカバレッジを下げることなく、照射される心臓体積を能う限り低下させることが推奨される。
  • 多くの症例では、コンフォーマル遮蔽および息止めテクニックにより心臓をビームから外すことができる。
  • もし心臓による死亡に対するNTCPモデルを使用するなら、NTCP 5%で、RTによる生存改善のメリットは脅かされると考えるべきである。
  • 部分照射に対しては、保守的な NTCPモデルに基づく推定では、V25Gy < 10% (1回2Gy)は 照射後15年での心臓死の確率 <1%と関連付けられる。
  • 今日、化学療法なしの放射線単独で悪性リンパ腫の治療をすることはほとんどない。歴史的には、心臓全体に対する30Gyまでの照射は十分に耐用可能であった。化学療法(特にドキソルビシン)と放射線治療を受ける大半の悪性リンパ腫の患者に対しては、全心臓への線量を15Gyまでとすること、症例に応じて化学療法後に残存する病変あるいは当初バルキーであった病変の領域に適切に照射野を縮小することが慎重な方針である。
  • 心外膜炎に関しては、Weiらの研究によると、 リスクは様々な線量パラメータに応じて上昇する。例えば、平均心外膜線量 >26 Gy、V30 > 46%など。表2に示したようなNTCPパラメータは臨床研究で考察の対象となりうる。心臓に対するDVHと心外膜に対するDVHを区別すべく注意を払う必要がある(Gagliardi et al 2010)
  • 心還流欠損の臨床的エンドポイントとしての適切性には疑問の余地が残るものの、 亜臨床的な心筋障害のエビデンスは示されており、比較的一般的なものであろう。左室の照射体積は心還流欠損の最も重要な予測因子であることが示されている。
  • 現在のところ、伝統的な心リスク因子に対する治療成功が、放射線関連心疾患の自然史を変えるという直接のエビデンスはないが、患者の心疾患のリスクプロファイルを最適化するのが慎重なやり方である。
  • 肺と心臓の照射の相互関係がいくつかの動物研究で示されている(心臓だけ考えていては不十分かもしれない)
  • 心毒性の評価(スコアリング)にはLENT-SOMA システムを使用することを推奨する。このシステムは心機能障害を臨床的・放射線的・機能的に評価することを明示的な目的としている。

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