アーナパーナサティ・スッタ(出入息念経)

アーナパーナサティ(出入息念)は釈尊自身が最も頻繁に説き、自らも実践したと考えられている瞑想法です。

16段階(4段階を1組とする4つの組から成る)で構成されています。パーリ語の原典は1つのはずですが、訳文は私が調べただけでも数種類あり、それぞれ微妙に異なっています。

私が目にすることのできた訳文を比較のために集めて行きたいと思いいます。いくつかの訳文を比較しながら、本来の意味を推察することが目標です。

16段階の各ステップを見ると、最初の方は誰でもなんとなく意味がわかると思います。しかし後半になると意味が理解しがたくなってきます。仏教の専門用語が出てくるからです。意味がわかないことを適確に実践することは不可能でしょう。この辺の用語についても随時調べて拡充していきたいと思います。

『呼吸によるマインドフルネス』より

『呼吸によるマインドフルネス 瞑想初心者のためのアーナーパーナサティ実践マニュアル』より

四つ組の第一

(1)「長く入息するときは、しっかりと『私は長く入息する』と気づき、長く出息するときは、しっかりと『私は長く出息する』と気づきます」

(2)「短く入息するときは、しっかりと『私は短く入息する』と気づき、短く出息するときは、しっかりと『私は短く出息する』と気づきます」

(3)「全身を感じながら入息しよう」と訓練し、「全身を感じながら出息しよう」と訓練します。

(4)「身体の動きを静めながら入息しよう」と訓練し、「身体の動きを鎮めながら出息しよう」と訓練します。

四つ組の第二

(5)「喜(piti)を感じながら入息しよう」と訓練し、「喜(piti)を感じながら出息しよう」と訓練します。

(6)「安楽(sukha)を感じながら入息しよう」と訓練し、「安楽(sukha)を感じながら出息しよう」と訓練します。

(7)「心の動きを感じながら入息しよう」と訓練し、「心の動きを感じながら出息しよう」と訓練します。

(8)「心の動きを静めながら入息しよう」と訓練し、「心の動きを鎮めながら出息しよう」と訓練します。

四つ組の第三

(9)「心を感じながら入息しよう」と訓練し、「心を感じながら出息しよう」と訓練します。

(10)「心を喜ばせながら入息しよう」と訓練し、「心を喜ばせながら出息しよう」と訓練します。

(11)「心を定めながら入息しよう」と訓練し、「心を定めながら出息しよう」と訓練します。

(12)「心を解き放ちながら入息しよう」と訓練し、「心を解き放ちながら出息しよう」と訓練します。

四つ組の第四

(13)「常に無常を観察しながら入息しよう」と訓練し、「常に無常を観察しながら出息しよう」と訓練します。

(14)「常に離貪を観察しながら入息しよう」と訓練し、「常に離貪を観察しながら出息しよう」と訓練します。

(15)「常に滅尽を観察しながら入息しよう」と訓練し、「常に滅尽を観察しながら出息しよう」と訓練します。

(16)「常に手放すことを観察しながら入息しよう」と訓練し、「常に手放すことを観察しながら出息しよう」と訓練します。

『自由に生きる』より

『自由に生きる』より

最初の四洞察(身体に関する組)

(1) 息を長く吸っているときには「息を長く吸っている」と気づき、息を長く吐いているときには「息を長く吐いている」と気づく。

(2) 息を短く吸っているときには「息を短く吸っている」と気づき、息を短く吐いているときには「息を短く吐いている」と気づく。

(3)「全身を感じながら息を吸おう、全身を感じながら息を吐こう」と訓練する。

(4)「全身を静めながら息を吸おう、全身を静めながら息を吐こう」と訓練する。

第二の四洞察(感受に関する組)

(5)「喜悦を感じながら息を吸おう、喜悦を感じながら息を吐こう」と訓練する。

(6)「安楽を感じながら息を吸おう、安楽を感じながら息を吐こう」と訓練する。

(7)「心の動きを感じながら息を吸おう、心の動きを感じながら息を吐こう」と訓練する。

(8)「心の動きを静めながら息を吸おう、心の動きを静めながら息を吐こう」と訓練する。

(*)心の動きの原語は「チッタ・サンカーラ」である。

第三の四洞察(心に関する組)

(9)「心を感じながら息を吸おう、心を感じながら息を吐こう」と訓練する。

(10)「心を喜ばせながら息を吸おう、心を喜ばせながら息を吐こう」と訓練する。

(11)「心を安定させながら息を吸おう、心を安定させながら息を吐こう」と訓練する。

(12)「心を解き放ちながら息を吸おう、心を解き放ちながら息を吐こう」と訓練する。

第四の四洞察(法則性に関する組)

(13)「無常であることを繰り返し見つめながら息を吸おう、無常であることを繰り返し見つめながら息を吐こう」と訓練する。

(14)「色あせてゆくさまを繰り返し見つめながら息を吸おう、色あせてゆくさまを繰り返し見つめながら息を吐こう」と訓練する。

(15)「消滅していくさまを繰り返し見つめながら息を吸おう、消滅していくさまを繰り返し見つめながら息を吐こう」と訓練する。

(16)「手放すことを繰り返し見つめながら息を吸おう、手放すこと繰り返し見つめながら息を吐こう」と訓練する。

参考

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