進行性慢性疾患の軌跡(Lynnのモデル)

致死的な疾患に罹患し、死に至るまでの軌跡は、疾患の種類によっていくつかに型分けされると考えられている。
19世紀の典型的な死に方は突然死(原因は感染症、事故、出産など)であった。医学の進歩によりこれらの疾患による死亡が減った結果、現代では進行性の慢性疾患による死が一般的である(1)

進行性の慢性疾患による死に至る軌跡を、Lynnらは3つに分類した(2)
(1) 比較的安定した期間の後、短期間の明らかな機能低下の時期を経て死亡するパターン(典型的にはがん)
罹病期間はしばしば数年にわたるが、機能低下そのものは通常数ヶ月程度。

(2) 時々入退院を繰り返すような重篤なエピソードを伴う長い罹病(典型的には心不全とCOPD)
罹病期間は2-5年程度である。死亡は重篤なエピソードに伴うことが多く、予測できない突然死であることが多い。

(3) 徐々に機能低下してすり減るようにゼロに至る延長された低下(典型的には老衰、認知症)
罹病期間は様々であるが、多くの場合6-8年程度まで。

illness_trajectories

参考

1. Murray, S. A., Kendall, M., Boyd, K., & Sheikh, A. (2005). Illness trajectories and palliative care. BMJ : British Medical Journal, 330(7498), 1007–1011.
2. Lynn, J., & Adamson, D. M. (2003). Living well at the end of life. Adapting health care to serious chronic illness in old age. DTIC Document. Retrieved from http://oai.dtic.mil/oai/oai?verb=getRecord&metadataPrefix=html&identifier=ADA416211

コメント