がん検診のAnalytic Framework

定義

Analytic Framework(以下、AF)とはUS Preventive Services Task Force(以下、USPSTF)が提唱したがん検診の効果判定のためのモデルである。
AFでは、直接的証拠と間接的証拠を分ける。直接的証拠とは「がん検診は死亡率を下げるか?」というリサーチクエスチョンに対する研究である。間接的証拠とは、がん検診 → 精密検査 → 治療と実際に行われる各段階の結果に対する研究である。

AFは、検診、精密検査、治療の各段階における評価指標(検診によりもたらされる中間結果)を明確にし、最終的な結果である死亡率減少にどのように結びついていくかを、一連の流れとしてまとめ、直接的証拠と間接的証拠の位置づけを明確にしている。

日本におけるAF応用の実例

『有効性評価に基づく』胃がん検診ガイドライン(2006/3/31版)より

af1

AF1 検診による死亡率を示す直接的な根拠
AF2 適切な検診対象集団
ハイリスク群(性・年齢・家族歴など)は特定できるか?
AF3 検査(スクリーニング、精密検査)の精度
検査の感度・特異度
発見がんの病期分布
病期別(早期・進行がんの感度)
AF4 検査(スクリーニング、精密検査)の不利益
① スクリーニング
・スクリーニング検査として受容できる範囲のものか?:不利益の程度(スクリーニングに
よる偶発症、偽陰性・中間期癌の検討)
② スクリーニングによる受診者の負担
・食事・薬剤の制限

③ 精検
・どのような不利益があるか?どのような場合に起こりうるか?(偶発症頻度etc)
AF5 治療(内視鏡切除)により、死亡率(/進行がんの罹患率)を減少させる間接的根拠はある
か?
① 外来群と検診群の比較:病期、EMR の割合、生存率など
② 検診群が優位とすれば、その根拠(検診受診群と非受診群や一般集団との比較など)
AF6 検診プログラムにおける治療の不利益
EMR に伴う偶発症
AF7 治療(外科手術)により、死亡率(/進行がんの罹患率)を減少させる間接的根拠はあるか?
① 外来群と検診群の比較:病期、EMR の割合、生存率など
② 検診群が優位とすれば、その根拠(検診受診群と非受診群や一般集団との比較など)
AF8 検診プログラムにおける治療(外科手術)の不利益
AF9 検診により、進行がん罹患は減少するか
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AF10 ヘリコバクターピロリ除菌による効果 :胃がん罹患抑制
AF11 治療の不利益(検診プログラム内で):除菌による耐性
AF12 ヘリコバクターピロリ除菌による効果:胃がん罹患減少に伴う、死亡減少

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