子宮頸癌の前がん病変の分類法の歴史

子宮頸癌の前がん病変の分類法として、歴史的には3つのものが重要である。即ち(1) 歴史的分類 (2) Bethesda分類(1988-) (3) LAST分類(2012-)である。以下、各分類の概略をまとめる。

歴史的分類

前癌状態の扁平上皮の変化を、軽度、中等度、重度に分類。

Bethesda分類(1988 – )

1988年に導入。1991年、2001年に改訂。
細胞診(Papテスト)と組織診(生検)の所見に別の用語をあてた。即ち、

  • 細胞診:squamous intraepithelial lesion (SIL)
  • 組織診: cervical intraepithelial neoplasia (CIN)

CINは重症度により更に3段階に分類された(CIN1, 2, 3)。

CIN 1CIN 2CIN 3
  • low grade病変
  • 軽度な異型性細胞変化が上皮下1/3にとどまる
  • HPV 細胞変性効果(koilocytotic atypia)をしばしば伴う
  • high grade病変
  • 中等度な異型性細胞変化が上皮下2/3にとどまる
  • (旧名称:中等度異形成 moderate dysplasia)
  • 上皮成熟は保持される
    本カテゴリーには多くのバラつきを含む
  • high grade病変
  • 重度な異型性細胞変化が上皮下2/3を超える全層に及ぶ
  • (旧名称:高度 異形成あるいは上皮内がん)

実際にはCIN2とCIN3の診断の再現性が低かったため、CIN2/3と分類されることも多い。

LAST分類(2012 – )

Bethesda分類とは異なり、細胞診と組織診の結果の表現に同一の用語を用いる方針となっている。

Bethesda分類LAST分類
CIN1LSIL
CIN2p16免疫組織染色結果によって分類される。
p16(-)のCIN2はLSIL、p16(+)のCIN2はHSIL
CIN3HSIL

参考資料

Cervical intraepithelial neoplasia: Terminology, incidence, pathogenesis, and prevention (last updated:Jul 29, 2015.)

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