定義
- 心理尺度の妥当性(validty)とは、尺度が測定しているものと、測定を意図しているものが本当に合致しているかどうかを表す概念である。
- 心理尺度の妥当性(validity)と研究の妥当性(validity)(内的妥当性、外的妥当性)は同じ妥当性という言葉が使われているが異なる概念である。
妥当性の分類
妥当性の分類(1)
妥当性は収束的妥当性 (convergent validity)と弁別的妥当性(discriminant validity)に分類される。
収束的妥当性とは、同一の構成概念を測定していると想定している変数間で実際に高い相関が観察されることである。
弁別的妥当性とは、異なる構成概念を測定していると想定している変数間で実際に低い相関が観察されることである。
妥当性の分類(2)
妥当性は構成概念妥当性(construct validity)と基準関連妥当性(criterion validity)に分類される。
構成概念妥当性とは、項目と尺度の整合性を表す概念である。心理尺度は通常、複数の項目ー複数の下位尺度ー尺度複数というツリー構造からなる。従って構成概念妥当性とは尺度が本当にツリー構造になっているかを意味する概念である。
構成概念妥当性は、同一下位尺度内の項目間の相関が十分に高い、下位尺度を異にする項目間の相関が高すぎない、などのことを評価する。因子分析によって評価する因子的妥当性(factor validity)は構成概念妥当性の1つである。
基準関連妥当性は、当該尺度と外的な基準の関連を評価するものである。当該尺度が独立変数、外的な基準が基準変数となる。
心理尺度では、診断研究におけるgold standardに相当するものが存在しないため、複数の外的基準に照らして基準関連妥当性を評価する必要がある。基準関連妥当性は使用する外的な基準の種類によって、既知グループ妥当性(known-groups validity)、予測的妥当性(predictive validity)、同時的妥当性(concurrent validity)などに分類される。
妥当性の種類 | 使用する基準変数 |
既知グループ妥当性 | 既に属性の明らかになっている複数グループ |
予測的妥当性 | 未来の結果 |
同時的妥当性 | 同時点で測定された複数の基準変数 |
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