6-10 全身照射

基礎知識

  • レシピエントとドナーの関係による分類
分類 定義
自家移植(autologous transplantation) ドナーとレシピエントが同一
同系移植(syngeneic transplantaion) ドナーとレシピエントが一卵性双生児
同種移植(allogeneic transplantation) ドナーとレシピエントが同じ種で遺伝子が異なる (一卵性双生児以外の人)
  • 造血幹細胞の入手方法による分類
    • 骨髄移植(bone marrow transplantation : BMT) : 骨髄穿刺で採取した骨髄を輸注する
    • 末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation : PBSCT) : G-CSFを投与して幹細胞が大量に末梢血に現れた時期に成分採血装置を用いて採取した末梢血肝細胞を移駐する。
    • 臍帯血移植(cord blood transplantation) : 臍帯血を造血幹細胞として用いる。
  • ドナーについて血縁/非血縁、幹細胞源について骨髄/末梢血/臍帯血の2×3=6通りの理論的な組み合わせがある。実際には血縁者間同種臍帯血移植は一般に考慮されず、日本では秘血縁末梢血幹細胞移植は導入されていないため4通りのみが実施される。

造血幹細胞移植前処置の目的

1) 悪性細胞の根絶
2) 十分な免疫抑制による造血幹細胞拒絶の予防(同種移植の場合)

GVHD

  • 急性GVHDと慢性GVHDがある
  • 急性GVHD:皮膚紅斑、肝機能障害(時に黄疸)、下痢が多い。前処置によるregimen related toxicity(RRT)と鑑別するため生検が必要とされる。
  • 慢性GVHD:自己免疫疾患に類似し、皮膚障害、肝障害が代表的。

骨髄非破壊性前処置による造血幹細胞移植 RIST(Reduced Intensity Stem Cell Transplantation)

  • 前処置で抗腫瘍効果を狙わず、GVL(graft versus leukemia)、GVT(graft versus tumor)効果で寛解維持を狙う治療法がRISTである
  • RIST以前の移植前処置の基本コンセプトは平均的な患者の耐用できる線量で最大の抗腫瘍効果を狙い、腫瘍根絶を目指すことであった
  • 骨髄抑制や正常細胞に強い毒性を持つ薬物、放射線照射などを除き、フルダラビンなどの強く免疫抑制効果を持つ免疫抑制薬を用いて、即時的なドナー細胞の完全生着ではなく、段階的なドナー細胞への置換を狙う。
  • 高齢者、臓器合併症のある症例でも実施可能

BU+CY vs TBI+CY

  • BU+CYよりTBI+CYに(特に急性白血病では)有利な報告があり、急性白血病に関しては全身照射を併用する全処置が一般的になってきている。

放射線治療

  • 実施方法: long SAD法が用いられることが多い
  • 処方線量:12Gy/6Fr/3dが一般的。RISTでは 4Gy/2Fr、2Gy/1Frなど
  • 線量率: 5-20cGy/minが一般的。主として間質性肺炎の予防。

long SAD法

  • 最もよく用いられている
  • 水平ビームでSADorSSDを長くとって広い照射野を確保する

Moving Table法

  • ガントリーを固定しスリットビームの中を患者が通り抜けて照射する
  • 可動式寝台が必要

Sweeping Beam法

  • ガントリーを回転させて全身をSweepする

Tomotherapyによるtotal marrow irradiaton

  • 全身の骨髄、リンパ組織、脾臓をターゲットとする

有害事象

  • 急性期: 嘔気嘔吐、口内炎、下痢が最多。しばしば唾液腺炎(耳下腺部の腫脹・疼痛)。
  • 間質性肺炎、白内障、内分泌障害(甲状腺機能低下)、腎機能障害、VOD(肝静脈閉塞症 veno-occulusive disease)など。小児では成長障害、不妊、二次がんなど。
  • Sampathらの報告では12Gy/6FrのTBIでの間質性肺炎の発症率は肺遮蔽なしで11%、ありで2.3%。

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