7-36 再発乳癌

ざっくり言うと

  • 局所・領域再発では局所治療優先、通常手術。しかし鎖上リンパ節転移は、準遠隔転移とみなし全身療法優先。
  • 腋窩リンパ節郭清術、腋窩含む再照射は、原則的に繰り返さない。照射をやむをえず追加する場合は限局照射野で。

基礎知識

  • 再発乳癌は初期治療により2つに分けられる:(1)乳房温存療法後 (2)乳房切除術後
  • 局所再発=乳房内再発であり、領域再発=領域リンパ節(腋窩、鎖骨上下窩、傍胸骨リンパ節)再発

乳房温存術後の再発

  • Ⅰ・II期乳癌BCTの20年成績は、乳房内再発14.3%、領域再発 5.4%、NSABP(National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project)
  • EBCTCTのメタアナリシスでは、BCT後の局所-領域再発率は照射の有無に関わらず10年近くまで増加を続けた。10年局所-領域制御率では腋窩リンパ節陽性例で13.1%、陰性例で10.0%である。
    • → 10年で10%くらいは再発してくる
  • 局所再発の3/4は術後5年以内に発生する → その後も治療可能な再発は長期間一定の割合で発生する → 定期的なMMGが必須
  • 化学療法、ホルモン療法、分子標的薬の併用を検討する
  • 乳房内部再発のリスク因子: 若年、腫瘍径、多発がん、遺伝的素因、リンパ節転移、節外浸潤、断端状況、広範な乳管内成分(EIC)、核異型度、脈管侵襲、がん遺伝子、エストロゲン受容体(ER)、補助療法の有無

治療方針(BCT後局所再発)

  • 遠隔転移(+) → 全身療法先行。遠隔転移(-) → 全乳房切除術。腋窩リンパ節郭清の繰り返しは原則避ける(初回手術での腋窩リンパ節郭清の有無が治療方針を決める)
  • 乳房内再発に対する再度の乳房温存術は標準的ではない。再切除そのものは可能であるが、整容性が低いこと、なにより再照射による重篤な有害事象が予想されるからである。
  • 遠隔転移(-)例では通常は全乳房手術を先行するが、皮膚浸潤を伴う炎症性再発は急激に全身に広がることがあるため、例外的に化学療法を先行させる。

治療方針(腋窩再発)

  • 腋窩リンパ節に対する手術 → 遺残腫瘍がある場合のみ術後照射(現況照射野で)

治療方針(鎖上リンパ節再発)

  • 化学療法先行 → 集学的治療の中で可能なら(=照射歴がなければ)鎖上に50Gy/25Fr+boost 10Gy/5Frを照射

乳房温存術後再発の治療成績

  • BCTと乳房切除術の治療成績が同等なのは、初回RTにより腫瘍が制御されているからではなく、乳房内再発が乳房切除術で救済されているためである
  • 乳房内再発に対する標準治療は全乳房切除(再治療としてBCTを行った場合の死亡リスクは全乳房切除群の約2倍)
  • 再発部位によって予後が異なる :
再発部位 5y無遠隔再発率 5y全生存率
乳房内 51.4% 59.9%
領域リンパ節および胸壁再発 18.8% 24.1%
腋窩リンパ節再発 31.5%
鎖上リンパ節再発 12.1%

乳房切除後の再発

  • PMRTにより局所-領域再発が減少する
  • EBCTCTによれば、10年局所-領域リンパ節再発率は照射により、リンパ節転移(+)例で 27.6% → 7.5%、リンパ節転移(-)例で 8.0% → 3.1%に減少する

治療方針(乳房全摘後胸壁再発)

  • 可及的切除が第一。できなければ化学療法 → 切除可能性再検討
  • PMRT歴なし → PMRT相当の照射
  • PMRT歴あり → 遺残腫瘍のみ現況照射野で
  • PMRT後の再照射も可能性あり(奏効率 56%との報告あり)

治療方針(乳房全摘後腋窩LN再発)

  • 可及的切除が第一。胸壁再発と同様の治療方針。

治療方針(乳房全摘後鎖上LN再発)

  • 全身疾患と考え化学療法先行。
  • 照射方針は胸壁再発、腋窩リンパ節再発と同様。

治療方針(乳房全摘後傍胸骨LN再発)

  • 胸骨のみの転移の場合、予後良好との報告あり

治療成績

  • 乳癌II・III期に対する全身療法(化学療法/TAM)施行令におけるPMRTの治療成績(デンマーク) : 3083人中535人に遠隔転移を伴わない局所・領域再発を認めた → 集学的な救済治療により持続的局所制御率 42%、5y無遠隔転移再発率 27%、5y生存率 36%。

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