[論文] Identification and Validation of Premortem Surge

要約

看護師による逸話的な報告によれば、死の経験の最終段階おいて、突然の、予期しない、エネルギーの急上昇(surge)と意識の晴明さの拡大を経験する患者がいる(その程度と期間はばらつきがある)。
しかし、この現象を精査した先行研究はない。

死前高揚(premortem surge; PS)と呼ばれる現象に対する、認定/上級認定看護師からの観察、意見、見解を組織的に収集すし、死の過程の最終段階において、PSを識別する特徴と所見を明らかにするために、デルファイ法を使用した。

Delphi法による3ラウンドの質問紙は、オンライン調査ツールを使用して配布された。64名の専門家が8つの半構造化された、オープンエンドな質問に回答した。物語はテーマによって分析され、PSに関する58の文章が作り出された。続く2回のDelphiラウンドで、41名がプロセスを完了した、各文章に対する各自の同意/不同意の程度をライカートスケールで回答し、予め設定した基準スコアをクリアした40の同意文が得られた。

本Delphi研究は、終末期ケア看護の専門家による、PSの特徴に関する同意およびPSが家族および看護師に対して持つ意味を明らかにした研究である。

PREMORTEM SURGE

PubMed、PsycInfo、CINAHL、Google Scholarを使用して、”dying trajectory”、”imminent death”,”impending death”,”dying process”,”p”
remortem surge”,”surge near death”をキーワードとした検索を行ったが、PSを扱った研究を同定することはできなかった。

Brayneらは、”deathbed phenomena(DBP)”に言及している。これは天使や死んだ家族を見ることとして記述されている[7]。 → お迎え現象

Data Analysis

データ解析にはNVivo 8 を使用した。

結果

コンセンサス(典型像)

PSを経験する人は典型的には、寝たきりあるいはそれに近い衰弱した状態にあり、PS前にはほとんどあるいは全く反応がない。
しばしば死の24-48時間前に生じ、6-24時間続く。
エネルギーが再び湧き起こり、意識が覚醒し、話したり、食事ができることもある。
PSはっきりと観察できるが説明できない現象である。
PSはしばしば起こるが、いつ起こるのか予測できない。
PSは典型的には死の前の1回きりの現象であり、似たような様相を呈する。
PSは霊的なあるいは心理的な経験として表現されることもある。

考察

制約

本研究には20歳以下を主たる対象にしている臨床家の参加がない。

看護臨床に対する意義

PSという現象があると知っておくこと、またその兆候を見逃さないことで、患者と家族が最後のよい時間を過ごす支援ができる。あるいはPSをみて家族が困惑したり、非現実的な回復の見込みを抱いて失望することを避けることができる。

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