[論文]Immune-Related Adverse Events Associated with Immune Checkopint Blockade

Immune-Related Adverse Events Associated with Immune Checkopoint Blockade

序文

免疫チェックポイントとは免疫を下方抑制(down-regulate)する仕組みである。
免疫チェックポイント阻害薬は免疫チェックポイント(いわば免疫のブレーキ)をブロックすることで免疫を活性化させる薬剤である。
代表的な免疫チェックポイント
・CTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte antigen 4)
・PD-1(programmed cell death 1)
・PD-L1(programmed cell death ligand 1)

代表的な免疫チェックポイント阻害薬(表を挿入)

免疫チェックポイント阻害薬の副作用は免疫関連有害事象(immune-related adverse events)と呼ばれる。本質的に炎症性の有害事象である。

免疫チェックポイント阻害薬の有害事象が発生する臓器(図を挿入)
最も頻繁に障害されるのは、消化管、内分泌腺、皮膚、肝臓である。
頻度的にこれらより稀ではあるが、心血管、呼吸器、筋骨格、血液系も傷害される。

免疫チェックポイント阻害薬を使用するにあたって臨床家が遭遇する10の重要な質問について、現時点で得られている知見からできるだけの回答を行う。

10の質問と回答

Q1. なぜ免疫関連有害事象が起こるのか?
詳細な機序は不明である。免疫関連有害自称に関するトランスレーショナル研究は、T細胞、抗体、サイトカイン応答が関与することが示されている。(図2挿入)

Q2.免疫関連有害事象は通常どのように治療されるのか?
最適な治療法を定義した前向き研究はない。現在の推奨は同意に基づく。
一時的な炎症過剰状態を改善するために、免疫抑制治療が用いられる。
グルココルチコイドが通常、免疫抑制薬の第一選択である。
追加の免疫抑制薬は、グルココルチコイドが有効ではない場合に使用される。

Q3.免疫関連有害事象はいつ起こるのか?
免疫関連有害事象は治療開始後、数週間~数ヶ月に起きることが多いが、いつでも発生しうる。
免疫チェックポイント阻害薬による治療の終了後に発生することすらある。
皮膚お有害事象が通常、最初に現れる( → 臨床的にはやりやすいでしょう)

Q4.なぜ免疫関連有害事象が起こる人と起こらない人がいるのか?
免疫関連有害事象がある人々にだけ生じる理由は知られていない。
生殖細胞遺伝子の関与や、宿主の腸内細菌叢(microbiota)の構成の関与を調べたいくつかの研究がある。

Q5.免疫関連有害事象は免疫チェックポイント阻害薬の効果と関連があるのか?
免疫関連有害事象の発生が治療効果の改善との関連については矛盾する複数のデータが得られている。
免疫チェックポイント阻害薬が治療効果を生じるために、免疫関連有害事象の発生は必須ではない。
ある種の有害事象(例、白斑 vitiligo)は治療効果とより明確に関連している可能性がある。

Q6.免疫関連有害事象に対する免疫抑制治療は、免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果を減弱させるのか?

免疫関連有害事象に対して免疫抑制治療を必要とした患者と、必要としなかった患者で臨床成績は同様である。
免疫関連有害事象に対して免疫抑制治療を使用した後にも、治療効果は継続する可能性がある。

Q7.免疫関連有害事象を治療するための免疫抑制療法には意図せぬ作用があるのか?
グルココルチコイド使用による有害事象(例.高血糖、浮腫、不安、医原性副腎不全)が起こりうる。
免疫抑制は後続する日和見感染のリスク因子である。

Q8.大きな有害事象の後で免疫チェックポイント阻害薬による治療を再開することは安全か?
後ろ向き研究からは、ある免疫チェックポイント阻害薬(例.抗CTLA-4)によって免疫関連有害事象が発生したとしても、その後に別の免疫チェックポイント阻害薬(例 抗PD-1)した際に必ずしも免疫関連有害事象が再燃するわけではない。
再治療の安全性はおそらく、最初の免疫関連有害事象の重篤さに依存する。

Q9.免疫関連有害事象が改善した後に、免疫チェックポイント阻害薬による治療を再開する必要があるか?
後ろ向き研究からは、免疫チェックポイント阻害薬が奏功した患者では、免疫関連有害事象により治療を中止しても、多くの場合、治療効果が持続する。
免疫治療を再起する必要があるかどうかについては、前向き研究が必要である。

Q10.免疫関連有害事象を発症するリスクが高いかもしれない患者を免疫チェックポイント阻害薬で治療することは安全か?

免疫関連有害事象を発症するリスクが高いかもしれない患者(例 自己免疫疾患患者)も免疫チェックポイント阻害薬の恩恵を受けられる可能性がある。
年齢だけで患者を免疫チェックポイント阻害薬の治療対象から除外すべきではない。これまでのデータからは免疫チェックポイント阻害薬の効果は年齢にかかわらず同様であるように思われる。

結論

免疫チェックポイント阻害薬はがん治療において重要性を増している。
免疫チェックポイント阻害薬は化学療法よりも安全性が高いこと示したいくつかの研究がある[75,76]。
免疫関連有害事象のほとんどは可逆的である。内分泌系の有害事象は永続化しうる。
免疫関連有害事象による死亡は極めて稀であるが、心筋炎、肺炎、兆円、神経学的イベントなどによって生じることがある。

今後有益なもの
1.免疫関連有害事象の発生機序の解明
2.国際的ながん登録
3.様々な分野の臨床家の交流

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