原著
RADIATION-INDUCED SECOND CANCERS: THE IMPACT OF 3D-CRT
AND IMRT
要約
放射線誘発癌の情報は、原爆被爆者と医療被爆者(放射線治療による2次発がんを含む)に依存している。
原爆被爆者では消化管、乳腺、甲状腺、膀胱などの組織を含むがんの増加を2.5Svまで直線的に認めている。
2.5Sv以上の高線量被爆における線量反応曲線に関しては大きな不確実性が残されている。
動物および人間での実験結果の中には、高線量で発がんが減ることを示唆するものがある(通常、細胞死に帰せられる)。その他のデータには線量におけるプラトーを示唆するものもある。
放射線治療を受けた患者でも発がんの増加を認める(通常、照射野外からの発がん)。加えて高線量の被爆を受けた照射内から肉腫の発生超過も認められている。
conventionalな放射線治療から3D-CRTへの移行には、高線量を受ける正常組織の減少と、腫瘍と限られた正常組織からなる標的体積への線量増加が含まれている。この変化により放射線誘発性の肉腫と(確実性は劣るが)癌腫の減少を期待する人もいるだろう。いずれにせよ、よい方向の変化である。
これに対して、3D-CRTからIMRTへの移行には、門数の増加が含まれており、結果としてDVHでは低線量に被爆する正常組織が増加する。加えてMUが2-3倍に増加することによる漏洩線により、全身被曝量が増加する。両因子は2次発がんを増加させる傾きがある。両者あわせて、IMRTはconventionalな照射に比べて、10年以上生存する患者において2次発がんを2倍に増やす(結果的に1.0%-1.75%ほどに発生させる)と考えられる。この数値はより長期の生存者(あるいはより若い患者)においてより大きなものとなるかもしれない、しかしその割合は同様であろう。
導入
◆原爆被爆者からの知見のまとめ
(1) 2次発がんの種類は白血病と体の表面を覆う細胞からの癌腫である
(2) 肉腫の増加はなかった
(3) 致死的案発がんのリスクは 8%/Gyと推定される
(4) リスクには大きなばらつきがある、例えば小さな子供のリスクは中年の成人の15倍である
◆放射線治療後の患者からの知見まとめ
(1) 2次発がんの種類は体の表面を覆う細胞からの癌腫(これは原爆被爆者と同様)および治療部位から離れた低線量被爆域からの癌腫である
(2) 高線量被ばく域から肉腫の発生がある(これは原爆被爆者にはない)
◆放射線治療を受けた患者における2次発がんの代表的報告
(1) 前立腺癌に対する放射線治療後の2次発がん(Brenner et al.)
手術治療群に比べ放射線治療群では、診断後のあらゆる時点であらゆるがん2次発がんのリスクが約6%高かった。RRは経時的に上昇し10年後34%に達した。
(2) 頸癌に対する放射線治療後の2次発がん(Boice et al.)
表1にまとめる
◆全身被爆の影響
全身被爆に関しては、原爆被爆者の研究から 2.5Syまで直線的に2次発がん(固形がん)が増加し10%/Sv程度の影響と推定されている。ここまでの線量に関してはかなり確実な結果と考えられている。より高線量でどうなるかは不明( → 図1)だが、頸癌や直腸がん患者における2次発がんのデータは曲線C、即ちこ4Gy以上ではプラトーに達することを示唆する。
◆DREF( dose-rate effectivness factor)
the fatcor by which cancer risks should be reduced when radiation is delivered at low doses and low dose-rates, or in a fractionated schedule, compared with a single high-dose rate exposure.(線量、線量率を下げるか、分割回数を増やすことによって発がんリスクを低下させられる係数)
2-10、2-7、などの報告があり、ICRPは放射線防護目的には2を使用することを推奨している[7]。
◆ D0
dose required to reduce cell survival to 37% on the linear portion of the survival curve.
細胞生存曲線の直線部分における生存率を37%にするために必要な線量
多分割照射における細胞生存曲線の逆数
D0は3.17Gy[9]、4-8Gy[10-12]、10Gy程度[13-15]など様々な報告がある。
しかし著者らは全骨盤の膀胱癌のデータからプラトー説を支持している。
◆3DCRT vs IMRT
著者らは、人口全体として 5%/Gy、高齢者では2%/Gy程度の被爆によるリスクを想定している。
結論
3D-CRTに比べIMRTでは、多門化による低線量被曝により0.5%、MU増加による全身被爆増加により0.25%ほど2次発がんが増えると推定している。
肉腫に関しては高線量域は大きく変わらないので変わりはないだろうと推定している。
TomotherapyではLineac IMRTより更に低線量被爆が増加するため、二次がんが増加すると推定する研究もある[19]。
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