[論文] 米国膀胱温存治療の実態研究

原著

Bladder-preserving Therapy Patterns of Care: A Survey of United States Radiation Oncologists Red 2017

要約

目的

筋層浸潤膀胱癌(muscle-invasive bladder cancer : MIBC)に対する膀胱温存化学放射線治療(bladder-preserving chemoradiotherapy : BPT)の有効性は臨床研究によって示されてきた。

しかし放射線の線量/分割、標的、同時化学療法のレジメンは統一されていない。

米国にてBPTを実施する際に使用されている方法に関するデータは存在しない。

対象/方法

米国の放射線治療医に対して、cT2-T3N0M0の移行上皮MIBCの管理に関する電子メールによる調査を行った。(2015/10/26 4075名に対して)

質問には、BPTを受ける患者さんのタイプや治療遂行におけるいくつかの側面に関する内容を含めた。
全ての回答の記述統計を報告する。単変量解析としてχ二乗検定を実施した。

結果

合計 277名からの回答を得た。最も多くの回答者(58%)は年間1-3例の治療をしているのみであった。回答者の74%は主に膀胱全摘不適例を治療しており、膀胱全摘前にBPTについて話し合うためにコンサルトされていたのは28%に過ぎなかった。

ほとんどの治療医はコンベンショナル分割(91%)を使用しており、寡分割照射は7.6%に過ぎなかった。
線量分割より標的体積により大きなバラつきがあった。小骨盤(69%)、全骨盤(29%)、膀胱のみ(12%)であった。

膀胱全摘も化学療法も適応とならない患者では、寡分割照射(29%)、膀胱のみ照射(34%)の割合が高かった。

シスプラチンベースの化学療法が最も好まれていた(89%)。シスプラチン以外で最も頻用されていたのは5-FU/MMC(32%)あるいはカルボプラチン(32%)であった。

IMRTおよび照射中の膀胱鏡検査の使用はまちまちであった。

結論

米国放射線治療医のBPTの実態を記述した。一貫する領域もあったが、技術的実際的側面でバラつきも多く見られた。放射線治療の標的、線量/分割、同時化療レジメンの決定には更なる研究が必要である。

考察

線量に関して

これまでのRTOGのほとんどの研究はコンベンショナル分割を使用(64.8Gy/1.8Gy)。
BC2001試験は64Gy/2Gy、55Gy/2.75Gyを主治医の裁量に任せた。BC2001試験では有害事象に群間差は報告されていないが、過去の報告では差がないとするものがある[10,11]。時代の潮流を考えると寡分割照射は更に検討されてよいのではないか。

標的体積に関して

時代の潮流であるde-escalation(照射野縮小)の傾向が見られた。
小骨盤照射野の外側に顕微鏡的浸潤のあるリンパ節が存在することを示した研究がある。
BC2001試験では膀胱+マージンのみを標的としたがリンパ節再発は5%未満であった[1]。
全骨盤と膀胱のみを非アクしたRCTでは全骨盤の利益は示されなかった[6]。
最適な標的体積に関しては研究が必要である。

化療レジメンに関して

カルボプラチンが頻用されていた。
カルボプラチンは遠隔転移例におけるRCTおよび、単一施設の後方研究でシスプラチンより効果が落ちるとの報告がある[7-9]。従って原則としてカルボプラチンの使用は避けるべきであり、啓蒙が必要である。

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