分化型甲状腺がんに対する日本と海外の治療方針の違い

Shigematsu(2006)より

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世界的に分化型甲状腺がんの治療の第一選択は手術である。
しかし甲状腺やリンパ節の切除範囲は日本と海外では異なっている。
術後放射性ヨード内用療法とホルモン治療の適応、再発がんに対する治療モダリティに関しても日本と海外には乖離がある。
日本と海外の甲状腺外科医に実際の治療の違いを確認するためのアンケート調査を実施した。
小さな乳頭癌(2cm以下、T1):甲状腺の切除範囲は海外の方が日本より広い。反対にリンパ節の切除範囲は日本の方が広い。
大きな乳頭癌(3cm以上、T2):海外では甲状腺全摘が第一選択。日本では甲状腺全摘は全体のわずか20%。リンパ節切除範囲はここでもやはり日本の方が広い。
海外の外科医は、術後TSH抑制療法とI-131治療を日本の外科医よりはるかに好む。
再発乳頭癌に対しては、日本も海外も手術を第一選択とすし、術後I-131治療追加を好む。
しかしながら日本では実際にI-131治療をできる施設が少ない。日本における甲状腺全摘の少なさは、この制約を反映しているのかもしれない(甲状腺全摘はI-131治療の前提条件である。)

茂松(2015)より

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分化型甲状腺がんの治療の第一選択が手術であることは世界共通である。しかし術式および手術を含めた治療方針においては、日本と諸外国では違いがある。世界的に見れば日本の治療方針(手術方針)は独特である。

海外日本
術式腫瘍の大きさに関わらず、甲状腺全摘が標準で、リンパ節郭清の範囲は狭い。甲状腺の切除範囲は狭く(正常甲状腺を温存する術式が多く実施される)、リンパ節郭清は広範囲に及ぶ。
I-131内用療法甲状腺全摘後にI-131内用療法を積極的に実施するのが標準的である。甲状腺機能の維持を狙い、手術のみで根治を目指す傾向がある。

日本と海外の治療方針の優劣に関しては、術後QOL、経過観察様式、補助療法、再発後治療などそれぞれのメリット、デメリットがあり簡単には決められない。

参考

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