アフリカのがん医療の疫学

世界がん統計2012 (1)

WHOの世界がん統計報告(GLOBACON)では、アフリカは5つの地域(東、西、南、北、中央)に分けられています。
2012年の全世界での推定がん罹患数は1,410万人、死亡数は820万人でした。
同年のアフリカ各地域の推定がん罹患数は、東(287,300)、中央(74,100)、北(220,600)、南(82,900)、西(182,100)、合計(854,900)であり、これは全世界の約6%に相当しました。

アフリカ各地域のがん罹患数、がん死亡数(いずれも年齢調整対10万人,2012年)の詳細は以下の通りです。
がん罹患数:東(137.8)、中央(100.8)、北(129.7)、南(177.5)、西(95.3)
がん死亡数:東(106.5)、中央(81.2)、北(86.8)、南(112.5)、西(71.6)
単純に、死亡数÷罹患数という比を取りますと、東(77%)、中央(81%)、北(67%)、南(63%)、西(75%)と、南北で低く、東西中央で高い数値でした。

子宮頸がんに限定しますと、以下の通りです。(年齢調整対10万人,2012年)は、以下の通りです。
がん罹患数:東(42.7)、南(31.5)、中央(30.6)、西(29.3)、北(6.6)
がん死亡数:東(27.6)、南(17.9)、中央(22.2)、西(18.5)、北(3.2)
罹患数で世界20地域の中での順位を示しますと、東(1)、南(3),中央(4)、西(5)、北(18)と、トップ5のうち4つをアフリカが占めました。一方で北アフリカは世界的に見ても成績良好でした。

放射線治療のアフリカでの普及率に関しましては、南北が高め、東西中央が低めという傾向があります。
チュニジア、ガボン、南アフリカなど一部50%を超える地域が例外的にあります。チュニジアが最も高くほぼ100%です。
東西中央は25%以下です。
がんの死亡数÷罹患数の比率と考えあわせますと、アフリカの医療水準は南北が高く、東西中央が低いという傾向がありそうです。

罹患率、死亡率の全ての数字は対人口10万人です。

アフリカ全域 (2)

がんは増えていす。
がんの原因は、感染(36%)、タバコ、アルコール、食事、運動不足、環境汚染など。感染の割合が世界一です。
感染性がんは、頸がん、肝がん、胃がん、Kaposi肉腫、Burkittリンパ腫など。頸がん罹患率も世界一です。
女性のがんでは、乳がん、頸がん、胃がん、肺がん、大腸がんが多い。
乳がんにおいては経済格差を反映して、開発された地域で罹患率が高く、開発の遅れた地域で死亡率が高い。
男性のがんでは、前立腺がん、肝がんが多い。
がんはアフリカでの死因の約5%となっています(国別にみると2-7%の範囲となります)。
2030年予想は、罹患数 130万人、死亡数100万です。

サブサハラ地域 (3)

女性のがんは、乳がん、頸がんがそれぞれ罹患数の1/4。3位は肝がんです。女性がん死亡原因の23.2%は頸がんです。
男性のがんは、前立腺がん、肝がん、Kaposi肉腫です。
前立腺がんの罹患率、死亡率は世界の他の地域と異なった傾向を示しています。
地域(罹患率、死亡率)とすると、アフリカ(27.9,20.9)、ヨーロッパ(64.0、11.3)、北米(97.2、9.8)です。
即ちアフリカは罹患率は低いが、死亡率が高い。
頸がんとHIVによるカポシ肉腫(罹患率7.2)は生存率のパターンに大きな影響を与えています。

(*)サブサハラアフリカ(Sub-Saharan Africa)とは、アフリカ(アフリカ大陸に限られず島嶼を含む)のうち、サハラ砂漠より南の地域。アフリカのうち北アフリカ以外の全て。

参考

(1)

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.3322/caac.21262/full

(2)

DSpace

(3)

IARC Publications Website - World Cancer Report 2014

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