がんの転移能を司る遺伝子

遺伝学的には、がんの遠隔転移能を司る遺伝子が存在すると考えられているが同定されていない。

同定されていない理由として以下の3仮説が提案されている。

(1) エピジェネティック変異など現在の技術では検出できない変化が関与している可能性

(2) 転移巣の遺伝子変異の研究は未だ不十分である

(3) 転移を司る遺伝子はそもそも存在しない(この場合、遠隔転移は単なる確率的現象として説明される)

正常細胞 → 良性腫瘍細胞、良性腫瘍細胞 → 悪性腫瘍細胞の変化を司る遺伝子は既に同定されているのと対照的である。

例えば大腸癌では以下の段階に対応する遺伝子変異が知られている。

段階変異遺伝子
正常細胞 → 良性腫瘍細胞(small adenoma)APC遺伝子
small adenoma → large adenomaRAS遺伝子
large adenoma → carcinomaPI3K、SMAD4、TP53遺伝子

 

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