測定不変性(measurement invariance)、測定等価性(measurement equivalence)

同義語

測定不変性(measurement invariance)、測定等価性(measurement equivalence)

定義

測定不変性(measurement invariance)とは尺度(scale)の性質を表す言葉である。即ち、潜在因子の水準は等しいが所属するグループの異なる被験者が、ある尺度で測定した結果、等しい生スコア(raw-score)を持つ場合、その尺度は測定不変性を持つと言われる。要するにある尺度が測定不変性を持つ場合、グループが違えども、その尺度上での1点は同じ意味があるということである。

測定不変性が成立していることが確認できれば、因子の平均や相互関係に関する仮説の検証に進むことができる。

測定不変性の検定

測定不変性の検定方法には(1) 構造方程式モデリング (2)項目反応理論、の2つの方法がある。

実際には1段階ずつ制約を強めたモデルを順次あてはめていき、1つ手前のモデルと比較して有意なモデルのあてはまりの悪化が生じていなければ、その制約を課したモデルは成立しているとみなされる。

モデルの制約を強めると、モデルの自由度が減少するため、モデルのあてはまり(model fit)は必ず悪化する。従って問題はどの程度の悪化は有意であるかという判断である。この判断基準としてはχ2乗検定や各種の適合度指標が用いられる。

適合度指標として最も広く用いられているのはCFI (comparative fit index)の差分、⊿CFIである。⊿CFI < .01をカットオフとするものが多い。即ちモデルの制約を強めても⊿CFIの変化が0.01未満であれば、強めた制約は成立しているとみなすわけである。

測定不変性の分類

構造的不変性

(configural invariance)

潜在因子の数および潜在因子の因子負荷パターンがグループ間で等しい。
弱不変性

(weak invariance)

同義語:metric invariance 測定基準不変性

因子不可の程度もグループ間で等しい。異なる群間の潜在因子間の関係を比較するために必要な前提である。

強不変性

(strong invariance)

同義語:scalar invariance 尺度妥当性

因子負荷量のみならず項目の切片もグループ間で等しい。系統的な応答バイアスが存在しないことを意味する。異なる群間の潜在因子の平均を比較するために必要な前提である。

厳密不変性
(strict invariance)
因子負荷量、切片に加え誤差分散もグループで等しい。

報告例(論文での表現)

典型的な論文での表組み例を挙げる。

measurement-invariance

Hirschfeld, G., & von Brachel, R. (2014). Multiple-group confirmatory factor analysis in RA tutorial in measurement invariance with continuous and ordinal indicators. Prac Assess Res Eval, 19(7), 2.より引用

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