疫学研究における誤差(error)

疫学研究の目的は疫学的指標の得ること(その具体的な数値を知ること)である。実際の研究によって得られるのは、真の数値の推定値である。この推定値と真の数値のズレが疫学研究における誤差である。

疫学研究の誤差の分類

疫学研究における誤差は、「系統的誤差(systematic error)」と「偶然誤差(random error)」とに分類できる。

「系統的誤差」とは偶然ではない誤差、つまり何らか誤差が発生するメカニズムが存在し、結果としてある一定の傾向性をもって生じる誤差である。系統誤差は「広義のバイアス」とも呼ばれる。

「偶然誤差」はランダムに生じる誤差である。十分な症例数があれば統計解析によって取り除くことが可能である。症例数が無限大に近づけば限りなく0に近づく誤差が偶然誤差であり、症例数がどれほど増えても減らない誤差が系統誤差である。

系統誤差の分類

系統誤差は、「選択バイアス」「測定バイアス(=情報バイアス)」「交絡バイアス(=交絡)」に大別される。

「選択バイアス」は標的母集団からのサンプリング段階で生じる系統誤差である。

「測定バイアス」は疾病の測定段階で生じる系統誤差である。

「交絡バイアス」は比較群間の割付段階で生じる系統誤差である。曝露の効果が他の変数の効果と混ざってしまう事によって生じる効果の混同(confusion of effect)である。

「選択バイアス」「想定バイアス」は研究デザインによって取り除くしか対処法がない。

「交絡」は研究デザインによって、あるいは測定さえしてあれば、統計解析によって取り除くことが可能である。測定されていない交絡は統計解析で取り除くことは不可能である。

 

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