メタアナリシスやマルチレベル分析には3つの統計モデルがある。
(1) ランダム効果モデル(random effect model)
(2) 混合効果モデル(mixed effect model)
(3) 固定効果モデル(fixed effect model)の3つのモデルがある。以下それぞれについて詳説する。
ランダム効果モデル
ランダム効果モデルとは、研究間のアウトカムのバラつきは「純粋にランダムである」と仮定するモデルである。
ランダム効果モデルのゴールは、複数研究のそれぞれに存在する真の効果の平均値および真の効果の間の分散(=異質性 heterogeneity の合計)を推定することである。
以下の記述を前提とする時、
Yi = θi + ei
Yi : 観察値(研究で報告されたアウトカム)、θi : 真の値、ei :誤差
ランダム効果モデルは以下のように数式で表現される。
θi = μ+ui
θi:真の値、μ:真の効果の平均値、ui:誤差(ui~N(0,τ^2)
混合効果モデル
研究間のバラつきは完全にランダムではなく、それをある程度、説明可能な変数が存在することを仮定するモデル。ここでモデルに組み込まれる説明変数は、研究レベル変数 study-level variableと呼ばれる。
混合効果モデルのゴール:真の効果の平均のサイズに、モデルに組み込まれたモデレータ変数はどの程度の影響を与えているか。大きな母集団(メタアナリシスに含まれた研究以外のものを含む)における真の効果の平均はどのようなものか?
混合効果モデルの数式表現
θi = β0 + β1xi1 + … + βp’Xip’ + ui
xij :i番目の研究のj番目のモデレータ変数の値、ui:誤差(ui~N(0,τ^2) ここでのt^2は残差異質性(residual heterogenity)と呼ばれる。
固定効果モデル
固定効果モデルのゴールは、メタアナリシスに含まれたk個の研究の真の効果の平均はなにかを推定することである。要するに固定効果モデルは、k個の研究=母集団と考えたモデルである。
一方、ランダムモデルでは、メタアナリシスに組み込まれた研究は、なされたかもしれない研究、なされるかもしれない研究を含む想像上の母集団のランダムサンプルと見なす。
このことを固定モデルは条件付き推論(conditional inference)であり、ランダム/混合効果モデルは無条件推論(unconditional inference)であるとも表現する。
固定効果モデルは、真の効果が均質(homogeneous)であることを仮定しているわけではないことに注意が必要である(そう誤記している文献が多い)。
モデルフィッティングの実際
メタアナリシスのモデルフィッティングは2段階で実施される。
(1) 残差分散の推定
(2) 真の効果の平均およびモデレータ係数の推定
コメント