ざっくり言うと
- 通常分割照射以外はaltered fractionationと総称される。
- Hyper(多分割)の意味は、1回線量を下げること(=その分、CFより多くの回数照射すること)
- Accelerated(加速)の意味は、総治療期間を短縮すること。
- Altered fractionationはHFに始まった。HFの目的は晩期有害事象の軽減である。つまり晩期有害辞書の軽減がAltered fractionationの最初の動機である。
- AFの目的は照射中の腫瘍再増殖を減らすことによる腫瘍制御率の改善である。
- つまりA(加速)は攻撃の、H(ハイパー)は防御、強化を意味する。
- 多分割照射が最もさかんに研究されているのは頭頸部である
基礎知識
- 線量分割法は「時間的線量配分」である。線量分割法と空間的線量分割が放射線治療の基本項目である。
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| 通常分割照射(conventional fractionation : CF) | 1回1.8-2.0Gy、週5回、総線量 60-70Gy |
| 非通常分割照射(altered fractionation) | CF以外の線量分割法全ての総称。 |
| 多分割照射(hyper fractionation : HF) | 1回線量を低下させ、1日に2-3回照射する治療法。multiple fractions per dayやmultiple daily fractionationと同義 |
| 少分割照射(hypo fractionation) | 1~数回の照射で治療を終える短期間の治療法 |
多分割照射の定義
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| 多分割照射 | hyper fractionation (HF) |
| 加速分割照射 | accelerated fractionaiton(AF) |
| 加速他分割照射 | accelerated hyperfractionation(AHF) |
- HFには上記の狭義のHFの意味と、上記3者の総称としての広義のHFがある(ハイパーという時は意味が多重なので要注意)
- 加速他分割照射(AHF) は HFとAFの混合型
- 1日に複数回の照射を行う(hyper fractionation)では、照射と照射の間を4.5-6時間あけるのが一般的である
多分割照射の線量配分
- 加速再増殖(accelerated repopulation)
| 組織 | 加速再増殖の開始時期(照射開始後○日目) |
|---|---|
| 早期反応組織(early responding tissue):正常上皮幹細胞が主体 | 7-14日後 |
| 頭頸部扁平上皮癌 | 21-28日後 |
- 頭頸部の3-4週間はおそらく癌の中では早くに加速再増殖が起こる部位と考えられているのだろうが、それより正常組織の方が当然ながら早い(1-2w)
- 放射線抵抗性腫瘍、進行期のもの、分化癌などは治療効果に対する照射期間依存性が高いと言われる → これらの期間では極力休止を避ける。
- RTOGの67-81.6GyのHFについての調査では、5日以上の休止で有意に制御率が低下したとの報告あり
| 用語 | 一回線量 | 回数 | 総線量 | 治療期間 |
|---|---|---|---|---|
| 多分割照射(HF) | 1.2Gy前後 | 増加 | 増加 | CFと同/短縮 |
| 加速分割照射(AF) | CFと同じ | CFと同じ | CFと同じ | 短縮 |
| 加速他分割照射(AHF) | 1.5Gy前後 | 増加 | CFと同じ | 短縮 |
| 通常分割照射(CF) | 1.8-2.0Gy | 30-35Fr | 60-70Gy | 6-7週 |
多分割照射の線量計算
- SLDRを考慮にいれない「完全回復型LQモデル」とSLDRを考慮にいれる「不完全回復型LQモデル」がある
- 「不完全回復型LQモデル」で、各分割の間隔が一定でない場合には、DaleやPopのモデルを用いた計算が実行される
治療成績のエビデンス
- メタアナリシスではHFを適用すべき腫瘍として頭頸部、膀胱、非小細胞廃盤、脳腫瘍(特にGBM)がが挙げられた。中でも頭頸部であった。後に脳腫瘍は期待された結果がでなかった。
HF vs CF
- HFにて制御率の改善あり、一部生存率も改善あり、晩期有害事象はCFと同じであった。急性反応は強かった。
AHF vs CF
- AHFには途中に休止期をおくものと、おかないものがある。AHFは急性期有害事象が極めて強いので休止期をおくものが通常行われてきた。
- AHF(休止期あり)では、局所制御率、生存率でCFと差がなく、早期反応が増加し、晩期反応は同じという否定的結果を示した。要するに急性期の副作用を増やしただけという残念な結果。
- AHF(休止期なし)でもAHF(休止期あり)と同様の結果であった。唯一、非小細胞肺癌以外に治療成績改善が示された。
AF vs CF
- AFには(1)1日2回法と(2)週6-7日法の2つがある
- AF(1日2回法)は急性期反応が増強し、HFと似た治療成績になる
- AF(週6ー7日法)は、急性期反応が強まるが、局所制御と生存率でCFより優れた結果を示した報告あり。
- AFは1日2回法より週6-7日法が主流になる可能性あり。
膀胱癌
- HFで治療成績改善の報告あり。標準とはなっていない。
肺癌
- 小細胞癌ではAHF 45Gy/3wとCF 45Gy/5Frの比較て、AHFの生存率がCFより10%も優れていた → 標準治療となった
- 途中休止期間を設けるとAHFのメリットは亡くなった。
- AHFには12日間連続、1.5Gyを1日3回照射するCHARTと週末は休息する修正スケジュールのHARTがある。
- CHARTは頭頸部では否定的な結果となったが、肺癌では局所制御率、生存率の改善を示し、晩期有害事象は増加しなかった。
- HARTは成績改善の兆しを示したが、エントリーが緩慢で粘膜炎が強く、CRTがより有効だったため試験が打ち切られた
甲状腺未分化癌
- 術前のドキソルビシン併用46GyのHFにより55人中40人が手術可能となった報告あり
食道癌
- 中国の報告でAHFで生存期間延長の可能性が示唆された。晩期合併症は増加しなかった。
多分割照射が否定されたもの
- 小児脳幹部腫瘍、悪性グリオーマ、転移性脳腫瘍では否定的な報告あり。
有害事象
-
急性反応: 頭頸部腫瘍に対する化療併用1.5Gyx2FrのAHFでは、約2週間:30Gyをすぎる頃から粘膜が強度に発赤する → 3週間:45Gy以後は白苔出現 → 治療終了時にはconfluent mucositis。回復には照射期間と同等の3-4週を要する場合あり。多分割照射では 60Gy/3-4wが受容限界と考察した論文あり
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晩期: 晩期有害事象は1回線量の大きさに依存するため、HF、AHFでは晩期有害事象はCFと同じかそれ以下となることが期待されるが、AHFでも総線量が70Gyを超えると晩期有害事象が有意に増加したとの報告あり。網膜症が起こる頻度はCFよりHFで有意に少ないとの報告あり(上咽頭癌、上顎癌などでは重要)。

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