[論文]A Detailed Dosimetric Analysis of Spinal Cord Tolerance in High-Dose Spine Radiosurgery
目的
脊髄の定位放射線治療(spinal stereotactic radiosurgery : SRS)における線量ー体積耐用(dose-volume tolerance)の定義は困難である。というのも放射線脊髄炎はまれであり、出版されている報告は脊髄炎の症例を文書化するのみであり、脊髄炎を発症しなかった全患者に関する線量ー体積に関する情報を提供しないからである。
本研究は単回SRSによる脊髄(SC)毒性を報告し、線量ー体積予測因子を探索するために、有害事象症例の完全なアトラスを提供する。
方法と対象
我々の施設で2004-2011に単回脊髄SRSを受けた全患者の前向きデータベースをレビューした。
SC毒性は、腫瘍増悪によらなないMRI信号変化を伴う臨床的な脊髄炎と定義した。
これらのエンドポイントに対するDVHアトラスを作成した。95%信頼区間を伴う有害事象率および脊髄炎の発症確率が <2%、<5%の確率を、線量と体積の関数として決定した。
## 結果
228名、259部位のDVHおよび脊髄炎の情報が入手できた。観察期間中央値は14.6ヶ月(0.1-138.3ヶ月)であった。
PTVに対する処方線量の中央値は24Gy(18-24Gy)であった。MRI信号変化を伴う2例の放射線脊髄炎があった(rate r=0.7%)。
脊髄炎は2名の患者で生じ、DMax >13.33Gy、最も高線量だった0.1,0.2,0.5,1ccにおける最低線量は>10.66,10.9,8Gyであった。
しかしながら脊髄炎はDmaxの下位34パーセンタイルで生じており、Dmax >13.33GyのDVHも194あった。
結論
SC Dmax中央値13.85Gyは安全であり、Dmax 14Gyでの脊髄炎発症確率は1%以下であることを支持する。
線量ー体積の閾値あるいはSC線量と脊髄炎の関係は明らかではなかった。
本研究は線量データと新規脊髄SRSにおける放射線脊髄炎の関係を考察した最大の研究である。
ポイント
放射線定位照射(radiosurgery)による晩発性の脊髄症の全リスクは1%未満と考えられている(3-7)。
最も意味のある分析方法は、脊髄炎のリスクの完全なDVHアトラスを作成することである(14)。
今回の治療を含めて先行する放射線治療歴がある場合、あるいは脊髄内病変がある場合、その治療は分析から除外した。
SC Dmax (maximum point/voxel)は当初12Gyであったが、後に14Gyまで拡大された。部署内でのレビューの後、臨床的に必要な場合は最大線量制約を超過した。
我々が脊髄DVHと脊髄症のデータを、脊髄症発症のDVHアトラス(dose-volume atlas of myelopathy incidence (DVAMI))を作成するために使用した。それからどのくらいの信頼度で安全であるかを、線量に関しては1/3Gy刻み、(体積に関しては)0.25ccあるいは0.1ccで、様々なありうるDVH制約に関して検討した。
(potential) constraint point
M5+ : TRMの制約点より上の5パーセンタイル(95%の信頼性でTRMがM5+である)
M95- :TRMの95パーセンタイル(95%の信頼性でTRMはM95-である)
放射線脊髄症は臨床的には、緩徐に進行する重篤な感覚運動障害(片麻痺、四肢麻痺を含む)として症状を呈する。脊髄症を発症するまでの潜伏期間は典型的には6ヶ月であるが、時に放射線治療後20ヶ月に及ぶこともある(20)。
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