重粒子線治療(heavy particle radiation therapy)

定義

重粒子線治療(heavy particle radiation therapy)とは、重粒子線を用いた放射線治療である。

放射線は電磁波放射線(X線、γ線)と粒子線(電子線、陽子線、中性子線、重イオン線など)に大別される。重粒子線は粒子線のうち、電子線よりも質量の重い粒子線のことであり、現在臨床使用されているものでは、陽子線、中性子線、重イオン線(=炭素イオン線)の3種類のことである。

重粒子線治療の特徴

現在の放射線治療の中心はX線であり、重粒子線の特徴はX線との対比で理解されている。

物理学的特徴:陽子線、重イオン線はブラッグピークを形成するため、体内深部の腫瘍を照射する場合、正常臓器の被爆を低減することが可能である。

生物学的特徴:速中性子線、重イオン線は殺細胞効果に対する酸素依存性が低い。このことから低酸素な腫瘍細胞への殺細胞効果が期待できるが、絶対に有用であるかどうかは不明である。

臨床的には陽子線は分布のいいX線(生物学的効果はX線とほぼ同等)であり、炭素線は分布も生物学的効果もX線より優れている(特に肉腫に有効)というのがおよその認識である。

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