大人の勉強法~教科書を作るというゴール~

大人の勉強の特徴は(1)教科書がない、(2)試験がないことである。

(1)教科書がないというのは参考となる本が全然無いという意味ではない。学生時代の教科書のように、(1)それ1冊に全てが凝縮されている (2) 書かれている内容は全て基本的に信頼できる、そういう都合のいい本がもはやないということである。

もし教科書があるなら、それを見つけ出し、それを繰り返し学ぶのが最も効率がよい。しかし残念ながら、学問のレベルが上がってくるともはやそういうものはない。沢山の本や論文を読み、そこからエッセンスを自力で抽出して、自分で教科書を作らねばならない。

教科書作りは非常に労多い。読むものの大半は捨てることになるためだ。必要な情報はわずかである。しかしそれがどこに書いてあるのかわからない。どこにも書いていないかもしれない。はずれ覚悟で沢山探しまわってみるしかない。S/N比の極端に低い世界なのである。

教科書作りに必要なスキルは、既に完成された教科書を血肉化するスキルとは別物である。探す力、見分ける力、そういうものが重要である。この段階に至ると、世の中の情報の大半がノイズであることに気づく。当たり前のように使っていた教科書を作ってくれた先人に感謝の気持ちも湧く。教科書を作れる能力のある人というのは希少であり、一つの分野で教科書が出来上がるには相当な時間が必要であることも見えてくる。

(2)試験がないということは、強制的なアウトプットの機会はなく、自分で作るしかないことを意味する。勉強はアウトプットして初めて完成する。アウトプットこそが勉強の目的である。試験はアウトプットの最終形態ではないが、一応のアウトプットの機会であることには違いなく、学習の促進、完成に有効利用することができる。それがないのだから、自分で何らかの仕方でアウトプットする形を作っていくしかない。

2点を考え合わせれば、学んだ成果として教科書づくりを目指すのは合理的である。読んで終わりとするのではなく、少しでもいいからまとめて書き残すのである。そしてそれを整理する。ここまでして知識が初めて自分のものになる。

この方法のいいところは、勉強の成果が可視化できるため、モチベーションを維持しやすいことである。また、できた教科書は社会にとって財産になる。それ自体が素晴らしい勉強の成果であろう。

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