医師は初期研修終了後、それぞれの専攻する科での専門トレーニングを受けることになりますが、そこで目を通すべき定番の本というのが各科にあると思います。他科のことを知りたいと思ったらこのレベルの文献に目を通すのが一番効率がいいはずです。
放射線治療の定番本をご紹介します。
放射線治療の臨床
放射線治療学会公認のガイドラインです。これはさすがに必須です。学会ホームページから無料のPDFをダウンロードすることもできます。放射線治療の計画作成は、難しいことを言っているわけではないのですが、手技や手術に似て、実際に治療計画装置を触って見ないとピンと来ないと思います。他科の医師の場合はそういう部分は読み飛ばし、処方線量、照射範囲、治療成績、有害事象など必要な情報を拾い読みされるとよいと思います。
2016年現在、Amazonでは在庫切れになっていますが、改訂版を準備中なのだろうと思います。日本語の本でリファレンス的に持っておく本としてはこれが定番です。かなりの大きさ、厚さ、価格で購入するのは気が引けると思いますが、放射線治療関連で1冊リファレンスを持つとしたらあれこれ買うよりこれを思い切って買ってしまった方がいいのかなと思います。
上記の本の別冊です。照射野の実際が掲載されています。これだけをみて治療計画を作成できるほど詳細なレシピにまではなっていませんが、参考にはなります。他科の医師ではなく、放射線治療の後期研修を始められたような方が利用する価値があると思います。
腫瘍学の基礎
外科系の場合は、自分の関与する臓器だけの抜粋版や取扱規約などで十分かもしれませんが、放射線治療の場合は対象が全身に渡ること、日本の取扱規約ではなく国際標準であるUICCのTNM分類を使用するのが一般的であるため、これは必携です。M2Plusから出ている電子版も便利です。
画像解剖の基礎
基本的な画像解剖はマスターしていないと放射線治療計画作成は不可能ですので、この本くらいの基本的なことは勉強しておく必要があります。画像解剖の本は多々ありますが、この3冊は全身を適度な詳しさでカバーしており、小型で持ち運びもしやすく、おススメです。