学習を習得と維持という2つの観点で考えてみたい。習得は、知らなかったことを知る、できなかったことをできるようにするという変容である。維持は、習得した知識・技能を維持することである。
学校や資格試験では通常、習得を試みた後すぐに試験を受ける。だから維持に関してあまり意識されない。しかし卒業後、資格取得後の長い人生を考える時、維持という視点は習得と同様に重要な視点である。
自分自身、人生で多くの時間を勉強に費やしてきた。それなりに多くのことを習得することはできたが、それらを維持できているとは言えない。それらの知識を活用する生活を送ることが難しいためである。反復しないものは忘れていく。
要するに勉強して一時は身に付けたものの多くは忘れてしまっている。一体なんのために学んだのか、と考えざるを得ない。そもそも学んだことの価値は、その後の人生でそれを何回使用したのかという観点から測定されるべきではないか。
習得も維持も、勉強はとにかく時間がかかる。学習とは反復そのものである。だからこそ、何を学ぶのか、何を学ばないのか、その取捨選択に意識的でありたい。勉強におけるコスト意識の徹底である。
維持可能性は、頭の良さというよりも、自分の生き方・働き方によって決まる。だから自分がどう生きたいのか、どう働きたいのか、そこから逆算して何を学ぶのかを決められれば合理的である。しかし実際には未来に明確なイメージを持つことは難しい。特に若ければ若いほど難しい。
とすれば現実的な対策は本当に興味のあること、やりたいこと以外にエネルギーを集中させ、それ外のことはできるだけせずに済む生き方をすることかもしれない。興味関心も変化するが、連続性を持って変化することをある程度、期待できるように思う。非連続だったとしても、興味のあることの習得が速いことは間違いない。
つまるところそれがその人にとって最も効率のよい学び方なのである。限られた人生を有効に活かすには効率が重要である。
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