放射線視神経障害(radiation-induced optic neuropathy : RION)

定義

放射線視神経障害(radiation-induced optic neuropathy : RION)とは、放射線照射の有害事象として発生する視神経障害である。発生機序は視神経乳頭(optic nerve head)と視神経の網板板後部(retrolaminar part)を栄養する動脈の虚血である。

分類

虚血の発生部位によって、前方RION(anterior RION)と後方RION(posterior RION)に分類される。

分類障害部位症状と検査所見
前方RION篩板(lamina cribrosa)より遠位部。篩板は視神経乳頭(optic nerve head)および視神経の網状板部と網状板前部(prelaminar and laminar parts)。急激な視力低下、視野欠損

(眼底鏡)視神経前部の病的変化

(蛍光アンギオ)造影遅延あるいは欠損

後方RION視神経の網状板後部 and/or 視交叉ゆっくりとした視力障害

眼底鏡、蛍光アンギオの所見乏しい

→ 診断が難しい(除外診断)

前方RION、後方RIONいずれも最終的には無痛性の失明に至る。

視神経の前部と後部では栄養血管が異なる。

放射線治療との関係

リスク因子

高線量(閾値不明だが50Gy以下ではなかったとの報告あり)

年齢(高齢者で発症多い)

予防因子

hyperfractionationでリスク低下の報告あり

治療

ステロイド、HBO、ステロイド+HBO併用、抗凝固薬、視神経症開窓術など。

発症後、HBOを早期開始(3日以内)して有効だった報告あり。

その他の治療効果ははっきりしない。視神経開窓術はcontroversialである。

文献

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