放射線脳壊死について、UpDoDateの記事”Delayed Complications of Cranial Irradiation”からポイントを抽出した。
臨床的特徴
- RT後1-3年での発症が多い。その他の期間に起きることもあり10年以上たって発症することもある。
- 1回2Gyの照射の場合、5%以上の確率で脳壊死を来す線量は約72Gyと考えられている。
- 脳腫瘍の他、上咽頭癌において側頭葉に壊死を来すこともある
- CT/MRIでは浮腫を伴い増強される領域として描出される。
画像診断
脳腫瘍(原発性および転移性)との鑑別が問題となる。画像での区別は原則的に難しい。
腫瘍より脳壊死を疑う一般的な所見は以下の通り。
- MRI T2WIで境界不明瞭な病変
- edema/enhancing lesion比が高い病変
- 経時的に自然軽快する病変 (経時的な増悪の場合、腫瘍、脳壊死いずれの可能性もある)
モダリティ | 診断 |
Perfusion-weighted MRI | CBV(cerebral blood volume) ↓ → 壊死 CBV↑ → 腫瘍 |
Diffusion-weighte MRI | 拡散制限あり → 腫瘍 |
MR spectroscopy | high lipid peak → 壊死 |
FDG-PET methionine-PET thallium chloride-201 SPECT | uptake亢進 → 腫瘍 亢進なし → 壊死 |
治療
- 経過観察で自然軽快することが大半である
- 症候性の場合、ステロイド(4-8mg/d po)投与する → 症候改善後、ステロイドはテーパーする。
- ステロイド抵抗性、あるいはステロイド離脱困難例では、抗凝固、抗血小板、高圧酸素などの治療が試みられることがある。
- 脳腫瘍との鑑別困難例では手術の適応となることがある。
- bevacizumabが有効な例が存在するが、至適用量や試用期間はまだ確立されていない。
参考
UpDoDate : “Delayed Complications of Cranial Irradiation”