fMRIのソフトウエアのバグをめぐる論争について

2016年07月05日 Gigazineに刺激的なタイトルの記事がアップされました。
MRI(核磁気共鳴画像法)のソフトウェアにバグ、直近1年の研究結果などが全て無効に
http://gigazine.net/news/20160705-mri-software-bugs/

元論文を調べてみました。

論文1:Gigazineの記事のネタになった論文
Cluster failure: Why fMRI inferences for spatial extent have inflated false-positive rates (PNAS, vol. 113 no. 28, Anders Eklund, 7900–7905, doi: 10.1073/pnas.1602413113)
論文2:論文1に対する反論論文
Guillaume Flandin and Karl J. Friston
Analysis of family-wise error rates in statistical parametric mapping using random field theory

両論文のポイントをまとめてみます。

論文1(Eklund 2015)がやったのは、実際のデータから帰無分布を構築し、これに基づくパラメトリック検定とノンパラメトリック検定を実施したということです。
ここでいう帰無分布は安静状態のfMRIのことのようです。
やってみた結果としてパラメトリック分析の偽陽性率が高かった → fMRIデータの分布はパラメトリック検定の前提を満たしていない、という結論に達しています。

論文2(Flandin 2016)も、論文1と基づくデータは同じなのですが、そこから作ったEklundの帰無分布は間違っていると言っています。
そして、ピーク高に基づくパラメトリック検定は許容可能である → fMRIデータの分布はパラメトリック検定の前提を満たしている、と逆の結論に達しています。(ピーク高というのが何のことかわからないのですが。)
なぜ間違っているのかというところが肝ですが、以下の理由が述べられています。

this was a mistake because any systematic fluctuation in resting state timeseries – that correlates with the regressor – will lead to signi cant one-sample t-tests against the null hypothesis of zero(e.g., magnetic equilibration effect)

回帰因子と相関する何らかの系統的な変動が存在するからだ、ということなのだと思います。
magnetic equilibration effectを例に挙げているようですが、それが妥当なのかはわかりません。キモの部分なのに例示が1つでいいのかという点もやや気になります。

パラメトリックで行くべきか、ノンパラメトリックで行くべきか、fMRI業界がどちらの合意に達するのか見守りたいと思います。

fMRIの専門家ではないためキモの部分が理解できないのですが、暫定的にはとりあえずパラメトリック、ノンパラメトリック両方やってみる、探索的な論文ならパラメトリックを許容する、確認的な論文ならノンパラメトリックで検証する、など日和見的な処置になるのか?などと考えています。

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