疫学は医学研究の方法論を扱う学問です。方法論そのものとも言えます。
方法論ですから本質的に抽象的な性格を持っています。そこがとっつきにくさの原因になっています。この点は統計学と同じです。具体例とセットにして学習することが理解のために必須だと思います。
本質的な方法論なので、どの本でも基本的には同じような内容になっていく傾向があります。その意味では何冊も読むというより、正確な記述がしてある本を精読した方がいいかもしれません。
そのせいかどうかわかりませんが、疫学の日本語の書籍はあまり充実しているとは思えません。Amazonで疫学で検索してみてもそれほど沢山の本は出てきません。それらのそもそもあまり豊富とは言えない選択肢の中から、特に有用と思われる本は以下2冊です。
『ロスマンの疫学』はいわば世界の教科書です。原題はEpidemilogy An Introduction.です。入門書という扱いです。入門後の本格的な教科書としては同著者のModern Epidemiologyがあります。こちらは邦訳はないようです。
『はじめて学ぶやさしい疫学』は日本疫学会が作っている140ページ程度の薄い本です。
どちらから読んでもいいと思います。ロスマンの方が重厚な文体です。『はじめて学ぶやさしい疫学』はまとめノートのような感じです。両方見比べながら自分なりに整理していくことで学習が進むのではないかと思います。
疫学用語辞典としては、以下の本が標準的です。
英語は2016年現在第6版です。第5版ですが日本語訳もありました(絶版のようです)。こういう基本中の基本書籍が絶版になってしまうあたりに、日本の疫学のおかれた状況が現れているように思えてなりません。