本が好き、または必要にかられて、たくさんの本を読む人も多いだろう。
あっという間に本棚はいっぱいになり、置き場所に困る。
昔は売るなりあげるなり捨てるなり、そういう処分しかなかったが、今はスキャンして電子データにする方法がある。
紙の本をバラしてスキャンすることは「自炊」と呼ばれている。
自炊の仕方、自炊した本(ファイル)の保存方法、自炊した本の読み方について考えてみたい。
まず自炊の仕方であるが、これは裁断機とスキャナーを買って全部自前でやる方法と、プロの業者に任せる方法がある。
両方試したが、結論としては業者にお任せする方法がオススメである。
この業界にはBOOKSCANという定番の業者があり、任せてしまえばまず安心だからである。
自炊という作業はかなり手間と時間と習熟を必要とする。
裁断、スキャン、スキャン後のOCRや変換など、全ての段階にノウハウが必要になる。
業者に依頼すれば1冊100円程度、OCRなどの処理をお願いしても200-300円程度で済む。
費用対効果としては業者に依頼する方がトクだろう。
ただ業者に依頼する場合、著作権の関係上、原本が溶解処分されてしまうので、原本を残しておきたい場合は自分でやるしかない。
次に自炊してできたファイル(通常PDF)の保存方法である。
かなり容量の大きなデータとなる上、ファイルを失ったら元も子もないので、バックアップを含めた保存体制をしっかり考えておきたい。
クラウドを利用したり、外部記憶装置を使ったり、やりやすい方法でいいだろう。
個人的には外部記憶装置を使用している。
いよいよ自炊した本の読み方であるが、まずはタブレットなどの電子端末で読む方法がある。
マーカーを引いたり、メモを書き込むこともある程度できるが、はっきり言ってまだまだである。
文字列を検索できるのは紙の本にはないメリットであるが、その精度は不十分である。
大量の本を持ち歩けるのは電子化の圧倒的なメリットであるが、紙の本の元のサイズより画面のサイズが小さくなるとどうしたって読みにくい。
(2015年、iPad Proが発売されたが、自炊派には需要があるだろう。)
読書体験の質で言えば紙の本の使い勝手にはまだ残念ながら全然及ばないと思っている。
そうなると、非常に無駄を感じるやり方にはなるのだが、自炊した本を読みために再印刷することがある。
原本より拡大して印刷することも可能であるし、章ごとなどに分けて持ち運んだりできるので使い勝手はかなりよい。
紙とインクの無駄が気なるが、本当に必要の場合、やむをえないだろう。
なお、再印刷をしたものを自宅で再製本することもできる。ちょっとした冊子作りには便利である。
本は電子データを出版社が印刷、製本したものである。
それを再び電子データにして印刷するというのは無駄であるが、電子書籍の普及まで、しばらくは仕方ないのだろう。
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