身内にプロのクラシックのピアニストがおり録音について相談を受けた。
ニーズは2つ。
1. よい音質で練習の録音をしたい(現状iPhone6で録音しているが音質に不満とのこと)
2. CDリリースに使えるレベルの録音を自宅でしたい
自分自身、録音やDTM分野に特別の経験はなかったため、一歩一歩調べながら進めることにした。
クラシック分野の録音は他のジャンルに比べて比較的シンプルなようである。
生の演奏をそのまま再現したような自然な録音が好まれるためである。
言い換えれば録音、編集のテクニックより演奏の質そのものが問われる部分が大きい。
事実、クラシックには数十年以上前に作成された過去の名盤というものがあり、それらの録音の質は現代とは比べ物にならないが、演奏そのものの素晴らしさで現役なのである。
なので最初からあまり凝った録音機材を投入する必要はないだろうと考えた。
むしろ、以下の方針で実際の録音経験を積み重ねていくことにした。
- 録音技術に関してはピアニストといえど素人であり、機器の操作が難しすぎないこと
- 録音機材は少しずつ機材を買い揃えてみて、どの程度満足できる音質であるかとその都度判断し、不足なら買い足していく
さてデジタルに録音する機材としてはICレコーダーが有名であるが、今回のような音楽を高音質で録音するためにはリニアPCMレコーダーという機材を使用する。
両者の違いは要するに音質であり、PCMレコーダーは既にCDを超える音質(ハイレゾと呼ばれる)で録音可能である。
PCMレコーダーの機種選定が悩みどころである。
リサーチを繰り返した結果、tascamとzoomという2社が定番であることがわかった。
両者に関してはtascamの方が自然で素直な音というレビューが多かったためクラシック向きなのではないかと考えた。
tascam社の製品をあれこれ比較検討した結果、最終的にTASCAM リニアPCMレコーダー ハイレゾ/Wi-Fi接続対応 4TR DR-44WLという機種を購入した。
この機種のポイントは2つである。
1. wifiを使用してパソコン(Windows,Mac)やスマホ(iPhone、Android)と連携できる。
2. XLRマイクが接続可能であること
Wifi接続可能なことにより、iPhoneをリモコンとしてDR-44WLを操作できたり、ケーブルレスでPCとのファイル転送が可能になる。
iPhoneをリモコンにできればレコーダーの設置場所と演奏場所を離すことが可能になる。
PCとの接続に関して言えば、この機械に関わらずケーブルをいちいちつなぐというのは結構面倒くさいので、なくて済むならそれに越したことはない。
XLRマイクというのは要するに高性能なマイクであるが、仮にPCMレコーダーの音質に満足できなかった場合、次に買い足すのはマイクなわけで、XLR端子があれば、別のものを買い直す手間なくステップアップできると考えた。
さて実際の使用感であるが音質は明らかにiPhone6よりは上でとりあえず練習には十分な印象であった。
CDの音源にまでとなるとPCなどで加工・編集が必須であると思われた。
しかしながらレコーダーの設置位置の工夫とPCでの加工でかなりいい線行くのでは、という印象であった。
目玉のWifi接続機能であるが、iPhoneとの接続はまずます良好であった。
一方、Windows10との接続ではWifi接続が「制限あり」となってしまいアプリが使用できなかった。
仕方ないのでUSB接続で使用しているがこちらは問題なしである。
実際に、練習で使用する場合、不満が出てくるのは本体スピーカーの音質であると思われる。
これは正直いってiPhoneに劣る音質である。
録音そのものはよく出来ているので、ヘッドフォンや外部スピーカーで聞けばよい音で聞けるが、一手間かかることは否めない。
iPhoneのスピーカーから再生させるストリーミング再生という機能である程度代用できるが、再生の度にストリーミング再生をオンにする必要がある。
基本設定として常にストリーミング再生をオンにできればよいのだが、毎回オフにリセットされてしまうようである。
なお購入時点で4GBのSDカードがついてくる。メーカーによれば128GBのものまで使用可能とのことである。
対応SDカードはこちらで確認できる。
単3電池4本で稼働するが、充電池を使用するとエコだろう。
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